【2020年最新】ドイツ銀行破綻問題とは?CDS崩壊の可能性やその株価チャートをMR.Tが解説

※2020年10月時点での最新情報を元に内容を一部追記しております。

ドイツ国内最大手の投資銀行として知られるドイツ銀行ですが、
現在ドイツ銀行の経営が悪化しており、
その上「倒産するのではないか?」
といった噂が流れて問題となっている事をご存知でしょうか?

  • 75兆ドルの危険なデリバティブ
  • 1.8万人規模のリストラ
  • 約26兆円にも及ぶ史上最大のマネーロンダリング

などなど…。

これらが今
「ドイツ銀行の破綻」を招こうとしているのですが、
実はこれ、
一つの民間銀行だけの問題に留まらず、
今や世界が抱える大問題にまで発展しているのです。

そこで当記事では、
ドイツ銀行の破綻問題についての詳細を解説し、
今後の経済や為替相場への影響についてまでを
シンガポール在住の株式トレーダーであるMr.Tが紹介していきます。

コンテンツ

世界経済を揺るがす「ドイツ銀行破綻問題」とは?

ドイツ銀行破綻問題とは、
ドイツ銀行の収益低迷による経営の悪化や
同行の大量に抱えているデリバティブ(金融派生商品)などによって
経営破綻の危機が恐れられている大問題の事です。

ドイツ銀行に「経営破綻」
という噂が表沙汰となったのは2016年頃。

2015年12月、
ドイツ銀行は2015年度の業績が
約68億ユーロ(当時のレートで約9,000億円)
の赤字となった事を発表し、
その赤字額は2008年のリーマンショックを超える過去最高額となりました。

仮にドイツ銀行が経営破綻したとすれば、
その世界経済への影響力は
リーマンショックを超える規模に達すると言われています。

なので、
このドイツ銀行問題は世界の全トレーダーが
絶対に無視できない重要トピックとなっているのです。

そもそもドイツ銀行とは?

出典:Deutsche Bank Group Japan

ドイツ銀行(Deutsche Bank)とは、
ドイツのフランクフルトに本拠を構え、
世界に2,000以上の支店を持つドイツ最大手の民間銀行です。

※ドイツ銀行は民間銀行の一つであり、
ドイツの中央銀行ではない。

このドイツ銀行は
2018年の世界の為替取引の市場シェアで8位に
位置しており
過去には世界の為替取引の16%を扱う巨大銀行でした。

しかし、
そんなドイツ銀行は今や過去3年間連続の赤字を記録するようになり、
遂には倒産が噂されるようになってしまったのです。

その後の2018年、
ドイツ銀行は投資銀行部門を縮小して
同行の従業員数を7000人規模でリストラしていく事を発表し、
その上2022年までに約1.8万人規模の
人員削減をすることまでも公表されています。

さらには米格付け会社である
スタンダード&プアーズ(S&P)によって
ドイツ銀行の長期発行体格付けは
「A-」から「BBB+」へと引き下げられました。

出典:Bloomberg

とうとうその経営状況も極限状態まで来ていた事が、
これらの事で明確となったのです。

破綻寸前のボロ株となったドイツ銀行の株価

では、
そんなドイツ銀行は本当に倒産してしまうのでしょうか?

それを探る為の一つの指標となる、
ドイツ銀行の株価を確認してみましょう。

ドイツ銀行の株価は今からおよそ12年前となる
2007年以降から綺麗な右肩下がりとなっており、
2019年12月現在の株価は6ユーロといった
一桁台の価格で推移しています。

株価が90ユーロあった2007年と比較して
現在の株価はおよそ10分の1までに縮小。

株価の下落率も直近12年で約90%を超えている事から、
既に倒産する会社の株価であると言っても過言ではありません。

さらに2018年6月には、
ドイツ銀行株の空売りが世界の大手銀行の中でも
過去1年間で最大規模であるという事も報道され、
挙げ句の果てにはユーロ圏の主要な株価指数である
「ユーロ・ストックス50指数」から除外されてしまいました。

このように、
ドイツ銀行の株価は既に破産寸前のボロ株と化しているのです。

大量のデリバティブを抱えるようになったドイツ銀行

そして、
現在ドイツ銀行の経営破綻が危ぶまれている
大きな原因となっているのが、
ドイツ銀行が大量に持つデリバティブです。

デリバティブ(金融派生商品)とは、
株式や債券などから派生して生まれた金融商品の事ですが、
ドイツ銀行はそのデリバティブを
約75兆ドル(約8,200兆円)抱えているとされています。

たった一つの民間銀行、
日本やドイツのGDPの約20倍にも及ぶ
規模のデリバティブを持っているのです。

そして、
このドイツ銀行の抱える主なデリバティブが
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれるものでした。

ドイツ銀行破綻問題の大きな原因となるCDS(クレジットデフォルトスワップ)とは

では、
ドイツ銀行が大量に抱えているCDSとは
何なのかについて詳しく解説します。

CDSは倒産による損失を回避する為の保険商品

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは、
国や企業の発行する国債・社債といった
債券の信用リスク(デフォルト)を回避する為の金融派生商品であり、
企業や国の倒産に対する損失を
保障するような「倒産保険」とも言い表す事ができます。

例えば、
日本のトヨタ自動車の社債を
100億円保有している会社があるとしましょう。

当然ながら、
トヨタ自動車が万が一倒産する事となれば、
この会社の保有している社債の価値は一気に吹き飛んでしまいます。

※債務者の信用(クレジット)が悪化して
債務不履行(デフォルト)となってしまうリスクの事を
デフォルトリスクと言います。

しかし、
ここでトヨタ自動車の社債に関するCDSを購入しておけば、
毎年一定料の保険料(プレミアムとも言います)を
CDSの売り手に支払う事で、
万が一トヨタの社債が潰れても
その損失分を補填してもらえるようになるのです。

このように、
CDSの買い手である会社はCDSの売り手に対して
一定の保険料を支払う事で、
自身の持っている債券のデフォルトリスクを
回避する事ができるようになります。

CDSは他人の家に火災保険をかけるようなギャンブル

しかし、
このCDSは使いようによっては
丁半博打のようなギャンブルにもなります。

では仮に、
何も社債を持っていない会社が
このCDSを買うとどうなるでしょうか。

その場合、
CDSを買った会社はそのCDSの対象となる
企業や国の倒産を賭けた大博打となるのです。

例えばトヨタの社債の100億円分のCDSを購入し、
その1%となる1億円をCDSの売り手に毎年払い続けるとしましょう。

それでもしもトヨタがデフォルトすれば、
毎年1億円の掛け金で一発100億円が
そのCDSの買い手によって儲けられる事となります。

このように、
CDSは他人の家に火災保険をかけて、
家が燃えるのを待つようなギャンブルにもなり得るのです。

なぜCDSがドイツ銀行を破綻に招く問題となっているのか

このような丁半博打のCDSを、
ドイツ銀行のエリートセールスマン達が
莫大なコミッションを受け取りながら
世界中の金融機関に売り捌いていました。

もちろんCDSは買い手にとって
企業の倒産リスクを回避する為のデリバティブ商品なので、
それ自体が駄目な訳ではありませんでしたが、
一つだけ致命的な問題がありました。

それは、
CDSを大量に販売するドイツ銀行の支払い能力です。

なぜなら、
もしもCDSを販売している国や企業がデフォルトした時に、
ドイツ銀行はCDSの買い手に対して
大量の保険金を支払わなければならなくなるからです。

ギリシャ国債のCDSを大量に抱えるドイツ銀行

ドイツ銀行が実際に売っていたCDSは
企業のものだけではありません。

ドイツ銀行はギリシャのデフォルト問題の際に
ギリシャ国債のCDSも大量に販売していたのです。

しかし、
ドイツ銀行はギリシャの国債がデフォルトした場合に、
CDSの買い手に対して莫大な保険金を支払う必要があります。

仮にギリシャが財政破綻した場合、
ドイツ銀行は莫大な損失を被るとされています。

巷ではその損失額が合計50兆円にも及ぶとも言われてますが、
果たしてどこまでその損失額が広がるのかは誰にも分かりません。

これでドイツ銀行の大損失だけで収まれば不幸中の幸いですが、
恐らくそれだけには留まらないでしょう。

一つのデフォルトが世界経済を破綻に導くデッドスパイラルとなる

CDSは商品を売り出す事で
手っ取り早く保険料を稼ぐ事ができますが、
万が一それが一つでも破綻すれば、
ドイツ銀行の破綻は疎か、
その損失が連鎖的に広がるような時限爆弾となり得ます。

なぜ一つでも倒産すれば損失が連鎖するのかというと、
このCDSはドイツ銀行だけに限らず、
世界中の金融機関同士が持ち合っているからです。

反対にドイツ銀行が倒産した時に
保険が支払われるようなCDSを持っている金融機関も存在する為、
もしもドイツ銀行が破綻した場合は、
それらの金融機関も連鎖的に潰れてしまう事も考えられるでしょう。

そして上述したように、
その債券に直接利害の無い人であっても、
CDSを買う事によって対象となる国や企業の倒産に賭ける事ができます。

要は、
国や企業の命を自分達のお金に変えるような
ギャンブルが無限に繰り広げられるのです。

そうして博打(CDS)に群がってくる人が増えれば、
それを売り捌くドイツ銀行は莫大な保険料が集まって儲かりますが、
万が一デフォルトが起これば大損失を被る事となります。

このように、実際の債券を発行・流通させなくても、
CDSを作って買い手を揃えるだけで
無限の市場を作り出す事が出来るのです。

これがCDSの凄さであり、
恐ろしさでもあるのです。

ドイツ銀行にCDSの支払いが発生したらどうなるか

7500兆円にも及ぶデリバティブ(CDS)を抱えているドイツ銀行ですが、
その実態は3年連続の赤字です。

2018年の決済では4年ぶりの最終黒字と発表されましたが、
それ以前の2015〜2017年は3年連続で赤字となっています。

しかし、
本来それほどのCDSを抱えているのであれば、
CDSの売り手として莫大な保険料を受け取って儲かっているはずです。

それにも関わらずこれまで大きな赤字を出してきたという事は、
既にドイツ銀行に本業の収益が出ていないと考える事ができるでしょう。

よって、
仮に75兆ドルも抱えるCDSの中から
今後買い手への支払いが1%でも発生したとすれば、
それだけでもおよそ7,500億ドルとなるので、
損失が更に膨れ上がる事となります。

つまり、
CDSの支払いが発生すれば、
ドイツ銀行は倒産へ大きく近づく事となり得るのです。

なぜドイツ銀行は破綻問題となるまでCDSを抱えていたのか

では、
なぜドイツ銀行はこれほどまでに
CDSといったデリバティブを抱えるようになったのでしょうか。

そこには様々な複雑な要因があるかと思われますが、
大まかな理由として考えられるのは以下の2つでしょう。

  1. ドイツ銀行が既に本業で儲けられなくなっている為
  2. 銀行の自己資本比率の規制をクリアできる為

本業で儲けられなくなったドイツ銀行

ドイツ銀行がCDSを大量に抱えるようになった理由の一つには、
超低金利政策によって銀行の本業である
預金業が儲からなくなってしまったという背景があります。

ヨーロッパの中央銀行であるECBは、
世界に先駆けマイナス金利による超低金利政策を行いました。

出典:Yahoo!ファイナンス

この政策がドイツ銀行をはじめとした
ユーロ圏内にある民間銀行の収益を圧迫する要因となり、
これまで預金の利息で稼いできた
銀行のビジネスモデルが危うくなってしまったのです。

なお、
このようなマイナス金利政策は
ヨーロッパに限った事ではなく、
日本でも同じように行われている為、
日本の銀行にとってもこれは決して他人事ではありません。

CDSは自己資本比率に引っ掛からない

ドイツ銀行がCDSを大量に抱え出したもう一つの理由として、
CDSが自己資本比率に引っ掛からないといった事情がありました。

そもそも国際取引を行う銀行では
BIS規制(バーゼル合意とも呼ばれる)といった
自己資本比率に関する国際統一基準が定められており、
国際取引を行う為には8%以上の自己資本比率(ROE)が求められています。

しかし、
ドイツ銀行は直近の経営悪化によってこの自己資本比率が低下し、
その数値は8%ギリギリとなっていました。

なので、
それ以上自己資本比率を下げられないドイツ銀行は
大きな融資業務も自由に行えなかったのです。

そこで、自己資本比率に引っ掛からず、
保険商品として保険料が入ってくるCDSを
大量に売って儲けるという手段を選んだのです。

ドイツ銀行で史上最大規模のマネーロンダリング疑惑が発覚

さらにドイツ銀行では、
史上最大規模となる約26兆円の
「マネーロンダリング事件」も勃発しています。

これは、
デンマーク最大手の「ダンスケ銀行」が関連した
マネーロンダリング疑惑の不審な取引に、
ドイツ銀行が手助けをしたのではないかという問題のこと。

2,000億ユーロにも及ぶ謎の資金がロシアから送金される

元を辿れば、
ダンスケ銀行のエストニア支店では、
旧ソ連圏のロシアから身元が不明な
最大2,000億ユーロ(約26兆円)にも及ぶ
莫大な資金を受け入れていました。

その資金は誰のものなのか不明だった為、
「ロシアから資金洗浄の為に送られてきたのではないか」
と疑われていたのです。

今回事件が起こったエストニアはバルト三国のひとつ。

バルト三国は旧ソビエト圏でしたが、
今はEUに加盟している為、国内の通貨はユーロです。

バルト三国はEUの金融システムに属していながらも、
旧ソ連なのでロシアとの関わりも深いという特徴を持っていた為、
地理的な条件も含め、
怪しい資金をそこに流すには好都合だったのです。

そして後に、
ダンスケ銀行のエストニア支店から
同行の本社にやってきたロシアマネーはドルに変換されました。

これは「ドル転」とも呼ばれ、
ロシア資金をドルに転換して世界で自由に使えるようにする為の
「マネーロンダリング」が行われていたのですが、
そこでダンスケ銀行におけるドル転を担当したのがドイツ銀行でした。

史上最大のマネーロンダリング疑惑をかけられたドイツ銀行

元々ドイツ銀行は世界の為替取引の16%を扱う程の巨大銀行で、
為替業務は世界最高峰と言っても過言ではないレベルでした。

しかし、
これを「マネーロンダリングだ」と
分かってやっていたのであれば、
ドイツ銀行は史上最高レベルとなる
約26兆円のマネーロンダリングをやってのけたこととなるわけです。

なお、
この大規模なマネーロンダリングをダンスケ銀行サイドは素直に認め、
なんとその後に同行のCEO自らが辞任することとなりました。

そしてダンスケ銀行の株価も約1年で半分以下となりましたが、
その大きな下落から、
いかにこのマネーロンダリングが
深刻な事件となっているかが見て取れるでしょう。

ドイツ銀行がマネロンを認めれば多額の罰金が科される場合も

これらの騒動を受けて、
ドイツ銀行内には約170人もの警察官や検査官が家宅捜査に入りましたが、
ドイツ銀行のCEOはマネロン疑惑について、
ダンスケ銀行のCEOは容疑を認めて辞任したにも関わらず、
「自分たちは関係ない」と涼しい顔して容疑を否定しているのです。

実際ロシアからドル転された資金は誰のものかもわからず、
本当に資金洗浄だったのかも確証がありませんが、
万が一正式にマネロンに関与されていたことが発覚すると、
ドイツ銀行はこれまで以上に状況が悪化するでしょう。

2019年12月にはアメリカの司法省が
ドイツ銀行のマネーロンダリング関与に関する調査を
エストニア検察と連携しながら拡大させていることが報道されましたが、
もしもドイツ銀行のマネロン関与が正式に証明されれば、
多額の罰金を科せられる可能性だってありますからね。

そうなると、
ドイツ銀行はまた倒産に一歩近づいてしまうかもしれません。

ドイツ銀行の今後は?いつ破綻してしまうのか

ドイツ銀行の筆頭株主である海航集団が株式を売却へ

ドイツ銀行の筆頭株主である中国複合企業の海航集団は、
同社の保有する約10%のドイツ銀行株の持ち分を6.3%に引き下げ、
今後はそれらを全て売却していく事を
明らかにしました。

海航集団といえば世界で最も活発な投資会社の一つであり、
中国の航空会社である大新華航空や、
米ホテル大手ヒルトンの系列会社である
ヒルトン・ワールドワイドなどの株を所有していました。

しかし、
積極的に海外投資を行ってきた海航集団も
経営危機に陥いるようになり、
既に同社の持つ様々な資産が売却された他、
ドイツ銀行の株式も今後2020年頃までにかけて
段階的に売却していくとされているのです。

なお、
海航集団のトップである陳峰董事長は
「主力である航空業に集中するために資産を処理している」
発言しているため
今後も引き続きドイツ銀行株売却の流れは
止まらないのではないかと推測できます。

このように、
筆頭株主である海航集団自らも経営危機を迎えている為、
同社による株式の売却が
今後ドイツ銀行の低迷する株価の重荷となり得るでしょう。

コメルツ銀行と経営統合を検討するも合意に至らず…

出典:Commerz Bank

今にも潰れそうなドイツ銀行ですが、
世界中の金融機関にとって
このような巨大銀行に簡単に潰れてもらっては困ります。

”Too big to fail”という言葉があるように、
金融システムの中核を担う銀行は大きすぎて潰せません。

このままではドイツ銀行は疎か、
ドイツ国内やEU圏内、
そして世界の経済崩壊を招きかねないと危惧したドイツ政府は、
ドイツ銀行に対してどこか他の銀行と
合併しないかと合併協議を打ち出しました。

そこで2019年3月、
ドイツ銀行は政府主導のドイツの主要銀行である
「コメルツ銀行」との合併協議を持ちかけましたが、
翌月4月に労働組合などによる反対で事業統合は困難だと判断され、
結局合意には至りませんでした。

この合併が成立すれば、
資産規模がおよそ200兆円を超える
EU最大規模の新たな銀行が誕生する予定でしたが、
その再編計画の中には数万人規模のリストラなども含まれていた為、
労働組合のその計画は受け入れられませんでした。

ドイツ銀行から新たに事業再編計画が発表される

コメルツ銀行との合併も無くなり、
「いよいよドイツ銀行は破綻に向かうのではないか」
と示唆されるようになりましたが、
その後の2019年7月7日、
ドイツ銀行は新たに事業再編計画を発表しました。

  • 約18,000人規模のリストラを発表
  • 株式売買業務から撤退
  • 投資銀行部門の一部資産を分離

約18,000人の人員削減へ

そこでは、
2022年までにドイツ銀行のおよそ2割に該当する
約18,000人を削減するといった
“超大規模リストラ”が発表されました。

さらにFinancial Newsによれば、
この削減を予定している18,000人の行員の代わりに
AIが搭載されたロボットを活用していることが明らかにされており、
ロボットによって人件費の削減はおろか、
68万時間にも及ぶ人間の労働時間の節約
に繋がっているといいます。

「将来人間の仕事はAIに代替される」

といった話はまだまだ先ではないのかと思ってましたが、
現実は僕たちの予想を遥かに上回るスピードで進んでいますね。

ドイツ銀行はとんでもなくお金がかかる状態に

そしてドイツ銀行は
株式売買業務からの撤退を公言し、
さらには複数の上級幹部が同行からの辞職も発表しましたが、
今回の事業再編計画の費用として、
2022年末までに74億ユーロ(約9,000億円)の計上を想定しました。

それに伴い、
2019年〜2020年の配当を取りやめ、
直近5年のうち4年間は赤字計上になることも浮き彫りとなったのです。

つまり、
ドイツ銀行は「とんでもなくお金がかかる状態」
となってしまったわけですね。

今回、
ここ10年間で見ても最大規模となるような
再編計画を打ち出したドイツ銀行でしたが、
2019年12月現在に至るまで株価はまだ6ドル台で推移しています。

つまり、
市場には「ドイツ銀行は再編できないだろう」
と思われているに近しい状態であるとも見ることができます。

ドイツ銀行の投資銀行部門が資産を分離し「バッドバンク」設立へ

そして、
ドイツ銀行のメイン業務である投資銀行部門では、
約500億ユーロにも及ぶ金利スワップなどの
デリバティブ資産を別の組織へ分離されることが発表されました。

これらの資産を「リスク加重資産」とも呼び、
不良債権や採算の悪い資産を
押し付けるための新しい組織を作って、
ドイツ銀行本体をなんとか生き残らせる
という手法をやってのけようとしました。

これは「バッドバンク」とも呼ばれており、
金融危機の際に行われる手法。

バッドバンクというと聞きなれないかもしれませんが、
要は銀行の「不良債権の受け皿」となる資産管理会社です。

金融機関は大き過ぎて潰せませんので、
いくらごみクズのような不良債権を処理したいといっても、
簡単にデフォルトすることはできません。

なぜなら、
巨大な金融機関のデフォルトは、
連鎖的に周りの金融機関のデフォルトを招く可能性があるからです。

しかし、
新しく作ったバッドバンクに
不良債権やゴミのような資産を押し付ければ、
本体のドイツ銀行は健全に運営できるようになります。

ドイツ銀行はバッドバンクの設立によって
不要な資産を排除し、
より収益性の高い事業に集中することを選んだのです。

世界最大の投資会社からの出資でドイツ銀行の株価が一時高騰!?

2020年2月6日、ドイツ銀行は
世界最大の投資会社であるキャピタルグループより
3%の出資を受けたことが話題となりました。

※参照:Bloomberg

キャピタル・グループは
ロサンゼルスを拠点に2兆ドルを運用する投資会社。

この発表を受けて、ドイツ銀行は一時13%高と、
およそ8年ぶりとなる上昇率を記録しました。


出典:TradingView

しかし、その後はコロナショックの影響もあり、
再び5ユーロ台の株価に逆戻りしました。


出典:TradingView

ドイツ銀行が償還可能な債券の返済オプションを見送る

2020年3月11日、
ドイツ銀行が債券の返済オプションを行使しなかったと報道されました。

これを受けて、
「ドイツ銀行が実質デフォルトか」
「ドイツ銀行が実質破綻」などと、
いたる所で煽られていましたが、
実際そうではありませんでした。

ドイツ銀行が見送ったのは、
12億5,000万ドルのAT1債(その他ティア1債)という債券であり、
これは返済期限がない「永久債」だったのです。

なお、これについては説明が少し複雑になるので、
以下の記事にて詳しく解説しています。

▶︎ドイツ銀行がなぜ債券の返済を見送ったのかについての詳細はこちら!

ドイツ銀行の国内店舗が20%閉鎖へと動きだす

2020年9月22日、
ドイツ銀行はドイツ国内における約500店舗のうち約20%を閉鎖し、
400店舗体制にする方針を固めました。

※参照:ドイツ銀行、国内店舗2割閉鎖 収益改善へ追加リストラ-日本経済新聞-

今後数年でそれを実現させるとされており、
同行は以前と比べて見劣りする収益の改善を課題に、
大規模な追加リストラが必要と判断しました。

新型コロナの影響で実店舗への来店が減り、
ネット経由の取引が増えていることも背景にあり、
追加のコスト削減に乗り出したというわけです。

ドイツ銀行が破綻したらその影響はリーマンショックを超える?

上述した通り、
仮にドイツ銀行が経営破綻したとすれば、
その影響は2008年のリーマンショック時を超える規模に達すると言われています。

リーマンショックによって破綻したリーマン・ブラザーズ銀行は、
金融業界の先を行っていると思われていたにも関わらず、
負債総額64兆円という人類史上最大の破産となりました。

しかし、
ドイツ銀行の負債総額はそれの約4倍となる
260兆円に達するといわれています。

さらに今回問題となっているCDSはドイツ銀行に限らず、
様々な金融機関によって複雑に入り組んでいる為、
実際にドイツ銀行が破綻した際の経済損失が
いくらになるのかは誰にも分からないとされているのです。

リーマンショックで大量にCDSを抱えて倒産の危機に陥ったAIG

実はこのCDSは、
以前のリーマンショック時にリーマン・ブラザーズ銀行や
世界最大の保険会社であるAIGなどが
投資銀行に向けて大量に販売していました。

その結果リーマンブラザーズは破産し、
それが世界経済の崩壊へと繋がりましたが、
当時CDSを売っていたAIGも連鎖的に
倒産する事が明らかとなったのです。

しかし、
そこでCDSの売り手であるAIGも破産した場合、
CDSの買い手に保険金を支払いすることができなくなる為、
世界の金融システムが破綻する恐れが懸念されていました。

そこで米FRBは緊急融資を決定し、
AIGに計17兆円もの税金を投入します。

このように、
経済の中心となる金融機関が潰れれば
金融システムが崩壊してしまうリスクがあったので、
政府が税金を使って救済するしかなかったのです。

ドイツ政府による救済も余儀なくされるかもしれない

以上のようなシナリオは、
今のドイツ銀行問題において同じ懸念がされています。

実際にドイツ銀行が破綻寸前となれば、
リーマンショック時のAIGと同じように、
ドイツ政府がドイツ銀行への資本注入を行う可能性もあります。

しかし、
実際に75兆ドル規模のCDSが爆発した場合には、
政府も規模が大きすぎて手に負えないでしょうし、
これに関してドイツのメルケル首相も
「ドイツ銀行の救済はしない」と消極的です。

こうなれば、
もうこの問題は誰にも止められません。

とは言えドイツ銀行が一つ破綻すれば、
他の複数の金融機関もドミノ式に倒れていく可能性が強く、
そうなれば政府が否が応でも
国民の税金を使って救済するという事態にもなり兼ねません。

このように、
ドイツ銀行問題の深刻さは月日を追うごとに増すばかりです。

ドイツ銀行の破綻で為替市場(FX)にもたらされる影響とは?

もしもドイツ銀行が破綻する事となれば、
為替市場にもリーマンショックと同等、
もしくはそれ以上のダメージとなる事が想定されるでしょう。

・リーマンショック後のドル円相場

かつてのリーマンショック後は
アメリカ経済の成長率が約3%下がり、
ドル円相場も2008年から2011年の3年にかけて約30%も下落しました。

よって、
今後ドイツ銀行の破綻でユーロやドルを中心に
再び大規模な為替相場の低迷が起こる事も考えられますが、
最終的にはドイツ政府による救済も可能性として十分考えられる為、
市場の予想よりもその影響は限定的になるのではないかといった見方もできます。

ドイツ銀行問題と同時にBrexit問題も深刻化している

また、
現在世界を揺るがしているもう一つの問題に
イギリスのEU離脱(Brexit)問題があります。

このBrexit問題とドイツ銀行問題は共存している
という事も忘れてはならないでしょう。

2019年4月10日、
イギリスのEU離脱が2019年10月31日まで
延期される事がEUによって合意されましたが、
離脱期限の直前となる10月28日には、
最長1月末までのEU離脱に関する延長が承認されています。

これまでずっと離脱の判断が先送りされているBrexitですが、
Brexitの最悪のシナリオは合意なき離脱。

2019年12月20日には
EU離脱に関する離脱協定案がイギリス議会で可決されましたが、
2020年1月末に予定通りBrexitが実行されるのかも不透明です。

イギリスのEU離脱に関するBrexitも更に不透明感が増す中、
EU経済、そして世界の株式・為替市場は
今後も引き続き大波乱となりそうです。

2020年のドイツ銀行破綻問題まとめ

以上、
ドイツ銀行は収益低迷による経営の悪化や
大量のCDS保有によって倒産が危惧されていますが、
もしも破綻すれば、
その影響は世界中の金融システムを揺るがす事となるでしょう。

それにドイツ銀行は、
デンマークのダンスケ銀行からの送金をドル転換する
約26兆円規模のマネーロンダリングに関与したとして捜索されています。

もしもマネロンへの関与が証明されれば
多額の罰金となる可能性も高いので、
決して良い状態とは言えません。

なお、これまでの金融危機は、
ざっと10年サイクルで起こってきました。

  • 1987年:ブラックマンデー
  • 1997年:アジア通貨危機
  • 2008年:リーマンショック

そして2020年はその節目ともなり得る年です。

イギリスのEU離脱問題や、
今回のドイツ銀行の破綻問題が渦巻く今、
いつ金融危機が起こってもおかしくない状態
だと言っても過言では無いでしょう。

いずれにせよ、
いつ金融危機が起こっても良いように、
これから万全の対策を練っておく事が大切です。

もしかすると、
明日にでもその事態は起こるかもしれませんから。

 

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2 件のコメント

  • 及川様

    BREXIT、ドイツ銀行破綻問題についての解説が非常に理解しやすかったので、1MDBマネーロンダリング事件についても解説して頂ければ幸いです。(=ドイツ銀行も関与しているようです)

    https://www.zerohedge.com/news/2019-07-10/us-probing-deutsche-banks-dealings-malaysias-1mdb-after-goldman-throws-it-under-bus

    https://www.forbes.com/sites/roomykhan/2019/01/23/goldman-sachs-an-unwitting-villain-1mdb-and-rogues-it-takes-more-than-one-to-tango/#5e85209b1343

    • no nameさま
      記事内容をお褒めいただきありがとうございます。

      書いているのが僕ではないので
      本人に伝えさせていただきます。

      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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