ドイツ銀行の“実質的破綻”はデマ!?なぜ債券の返済を見送ったのかMr.Tがわかりやすく解説します

3月11日、ロイター通信にて

「ドイツ銀行が債券の返済オプションを行使しなかった」

というニュースが報道されましたね。

 

ドイツ最大手の投資銀行として知られるドイツ銀行ですが、

ドイツ銀行は何年も前から

「倒産するのではないか?」と言われてきました。

 

▶︎ドイツ銀行の破綻問題について詳しく知りたい方は先にこちらをお読みください

 

今回ドイツ銀行が債券を返済しなかったことを受け、

他のメディアやSNS界隈では

「ドイツ銀行が実質デフォルトか」

「ドイツ銀行が実質破綻」などと、

いたる所で散々に煽られていたのです。

 

これを見たあなたは、

 

「え、ドイツ銀行って債券を返済できないの?

それってヤバイんじゃないの….。」

 

と思ってしまったかもしれません。

 

ですが…

これは「事実上の破綻」なんかではありません!

 

つい最近レバノンが初のデフォルトで世間を賑わせていたので、

「デフォルト」と聞くと悪いイメージを抱くかもしれませんが…

今回のケースは別物です。

 

そういういい加減なネット上の煽りは、

信じないようにしましょう。

 

そこで今回は、

なぜドイツ銀行が債券の返済を見送ったのかについて、

どこよりも分かりやすく解説していきます。

ドイツ銀行が今回返済を行使しなかった「AT1債」とは?

今回ドイツ銀行が返済を見送ったのは、

12億5,000万ドルのAT1債(その他ティア1債)という債券でした。

 

【AT1債の概要】

 

残存期間 永久
利回り 6〜6.25%
発行総額 12億5,000万ドル
発行日 2014年5月27日

 

AT1債とはAdditional Tier 1の略称で、

別名「CoCo債」とも呼ばれています。

 

このAT1債は元本の返済期限がない「永久債」で、

そもそも返済の義務がない債券なんです。

AT1債にはそもそも返済義務がない

 

実際にドイツ銀行の公式サイトを調べてみると、

以下の赤枠に記載のあるように、

金利が6.25%で12億5,000万ドル、

そして残存年数(Maturity)が永久(perpetual)になっていることが分かります。

出典:Deutsche Bank

 

※なぜ金利がこんなに高いのかは後述します。

 

債券は「借金」とも言い換えられるように、

通常だと債券で調達したお金を返す義務があるんですが…

「AT1債」は永久債なので返済義務がありません。

 

ただ、

AT1債は債券を発行した銀行サイドに

「返済期日が5〜6年に一度」というオプションが定められているので、

銀行側の好きなタイミングで返せるんですよね。

 

だから、

「AT1債を返済しない=デフォルト=事実上の破綻」

という解釈になることがそもそもおかしいんです。

 

だって、

「別に返さなくても良い」

っていうオプションがあるのですから…。

 

今回のAT1債はドイツ銀行が6年前の2014年に発行したもので、

ちょうど2020年の4月末に、

償還のオプションを行使できる日が迫ってました。

 

そこで、

 

「あんた達はAT1債の償還を行使しますか?しませんか?」

 

と聞かれ、ドイツ銀行が

 

「はい、行使しません!」

 

と答えた。ただそれだけの話なんですよ。

なぜドイツ銀行はAT1債を発行する必要があったのか

 

AT1債は残存期間が”永年”である上に、

その利回りは6〜6.25%で売り出されたんですが、

ではなぜドイツ銀行はこんな複雑な債券を発行して

わざわざ市場に売り出したのでしょうか?

 

しかもこんなに高金利で。

 

それを知るためには、

まず銀行に課せられている規制について

知っておく必要があります。

BISのバーゼル合意によって銀行の自己資本比率は8%と決められている

 

現在世界中の金融機関の国際取引基準を決めているのが

スイスの国際決済銀行BIS(Bank for International Settlements)ですが、

BISでは「バーゼル合意」という国際統一基準が設定されています。

 

そのバーゼル合意では、

銀行の自己資本に関する国際統一基準が、

「自己資本比率8%以上」と定められているんですね。

 

銀行の資本には「自己資本」と「他人資本」の2種類がありますが、

自己資本比率とは、

総資産割合のうち自己資本がどのくらいかを示すものです。

自己資本は主に国民からの預金や、

中央銀行から借りたお金、社債などにあたるわけですが、

この自己資本の比率8%以上にを引き上げるには、

単純に自己資本を増やさなければなりません。

 

銀行の自己資本には「Tier1」「Tier2」といった区分がある

 

経営悪化によって自己資本比率が

8%ギリギリになっていたドイツ銀行は、

このバーゼル合意の国際統一基準をクリアするために手を打つわけですが、

自己資本が8%以上ならば、

その中身が何でも良いというわけでもありませんでした。

 

BISによるバーゼル規制では、

その自己資本の中身もかなり厳重に見られているのです。

 

そこで出てくるのが、

「Tier1(ティアーワン)」と「Tier2(ティアーツー)」。

 

「Tier」とは「層」を意味する英単語で、

「Tier1(第一層)」は銀行の自己資本の中でも

特に良質な資本のことを表します。

 

例えば資本金、法定準備金、

利益剰余金、優先株といったところでしょうか。

 

その他にも、

「その他Tier1」や「Tier2」といった自己資本の種類があり、

バーゼル規制ではTier1を4.5%以上、

その他Tier1と合わせて6%以上、

そしてそれらとTier2を合わせて8%以上にしないといけないのです。

※この自己資本比率は2010年9月に公表された

「バーゼル3」によって新たに規定されたルールです。

 

そして今回ドイツ銀行が返済を見送ったAT1債は、

「その他Tier1」に含まれるものでした。

 

バーゼル3による規定に伴い、

ドイツ銀行はなんとかTier1を増やさないと、

いよいよバーゼル規制に引っかかってしまうということで、

ドイツ銀行を始めとする欧州の銀行はこぞってAT1債を発行し、

欧州でAT1債の発行が急増しました。

 

みんな急いで自己資本を増やすためにAT1債を発行しまくったのです。

AT1債は金利の支払いを停止したり株式に変換したりできる

 

そこでドイツ銀行は

AT1債を投資家から買ってもらうために、

利回りを普通の債券よりも高い6%台に設定しました。

 

なぜ利回りをそんなに高くするのかというと、

魅力的な利回りにしないと

そんなわけのわからない社債になんて見向きもしてくれないからです。

 

ただし、

金利を6%台とかなり高めに設定した代わりに、

以下のような条件が定められました。

 

  1. 金利の支払いを停止できること
  2. 株式に転換できる転換社債

 

債券なので通常は金利の支払いがありますが、

このAT1債はドイツ銀行が一定の利益を下回ると、

ドイツ銀行の判断で金利の支払いを停止できるオプションがありました。

 

そしてAT1債は、

上述した「Tier1」の比率が下がると、

その債券を株式に強制転換できる「転換社債」でもあります。

 

転換社債は「コンバーチブル・ボンド」

とも呼ばれており、

ある一定の条件を満たせば

発行した債券を株式に転換できます。

 

つまり転換社債であるAT1債は、

「Tier1」の比率が4.5%を下回りそうになったら、

ドイツ銀行の判断で株式に変えられるのです。

 

こういう債券を「偶発的転換社債」ともいいます。

結論:ドイツ銀行のAT1債の返済見送りは事実上の破綻ではない

 

というわけで、

今回のドイツ銀行による「債券の返済見送り」は、

「金利の支払いを停止できる」「株式に転換できる」

といったAT1債の性質が利用されただけに過ぎません。

 

同時期の3月中旬は、

コロナウイルスによる世界同時株安で、

ドイツ銀行に限らず世界の銀行株や債券市場が暴落しました。

 

理論的には債券価格が下落すると、

債券の金利は上昇します。

 

債券価格が上昇 債券価格が下落
債券の金利 上がる 下がる

 

ドイツ銀行は金利が急騰してる状態で

債券の返済を行使するのは「経済合理的ではない」と判断しただけで、

全くもって銀行の債務不履行のような話ではないのです。

 

そもそも債券は金利が低い時に償還して、

低金利の間にまた新たなものを発行した方が有利ですからね。

 

元々そういったオプションがある債券なのに、

「事実上の債務不履行」という誤解が広まってしまったのです。

 

今回のようなケースはドイツ銀行だけではなく、

欧州の他の銀行でもあったみたいですね。

最後に:ドイツ銀行は今後本当に破綻する?

 

以上、

今回の件はドイツ銀行の事実上の破綻ではないという話でしたが、

だからといってドイツ銀行は破綻を免れたというわけでもありません。

 

ドイツ銀行は依然「倒産株価」とも呼ばれる

10ユーロを下回った推移となっており、

2020年3月時点で5ユーロ台の推移となっています。

出典:TradingView

 

ドイツ銀行は2月6日に

世界最大の投資会社であるキャピタルグループより

3%の出資を受けたことが話題となり

株価が一時10ユーロ以上に急騰したものの、

現在はコロナショックの影響もあり、

再び5ユーロ台の株価に逆戻りしました。

 

しかしドイツ銀行では今後の再建計画もなされており、

人員の2割削減や投資銀行の株式売買業務からの撤退などが進められている上、

将来Tier1の自己資本比率を「13.6%」にするといった改革も打ち出されています。

 

今後の再建に期待したいところですね。

 

コロナショックによる世界同時株安が気がかりではありますが、

75兆ドル規模の危険なデリバティブを抱えるドイツ銀行が破綻すると、

市場がさらに混乱してしまう可能性だってあります。

 

果たして世界の株式市場や為替市場は、

この核爆弾をどこまで織り込んでいるんでしょうか…。

 

引き続き、ドイツ銀行の行方には目が離せません。

 

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