米中貿易協議による為替や株価への影響は?米中貿易戦争についてや今後のシナリオをMR.Tが解説

米中両国が互いに関税引き上げに踏み切り、
2018年以降両国の貿易に関する摩擦がエスカレートしていった米中貿易戦争。

もしも両国間で複雑な貿易戦争が続く事となれば、
米中をはじめとした世界経済が大きく揺れ動く可能性だってあります。

そして、
この貿易戦争に起因している問題を協議する為の
「米中貿易協議」も、いよいよ大詰めの最終ラウンドとなってきました。

この貿易戦争を巡った協議の決着によっては、
今後の世界の株価や為替市場に大きな影響がもたらされる事となるでしょう。

そこで当記事では、米中貿易戦争について解説し、
米中貿易協議に関する現状、
そしてそれがもたらす今後の影響について簡単に紹介していきます。

米中貿易協議の行方や株価・為替への影響は?

中国への関税引き上げを延期したアメリカ

2019年2月24日、アメリカのトランプ大統領は、
米中の貿易交渉にて3月2日に予定されていた、
中国製品に対する関税の引き上げ(10%から25%)を延期すると表明しました。

元々2018年12月の米中首脳会談では90日間という期日を区切り、
貿易問題を集中的に協議して
3月1日を期限とするとしていました。

しかし、
アメリカ政権は3月2日に予定していた中国製品の関税引き上げを猶予する事で合意し、
トランプ大統領は自身のツイッター上で
「中国との貿易協議で十分な進展があった」と指摘したのです。

それによって、
これまで恐怖とされていた米中貿易戦争による
経済的なリスクが緩和される公算が高まり、
中国の株価指数である上海総合指数は大きく上昇しました。

2018年は芳しくない株価推移をみせていた上海総合指数も、
2019年以降は大きく回復しており、
市場では米中貿易協議の妥結への期待が一層高まっているようにも見て取れます。

米中貿易協議はいつ決着が着くのか

3月に決着させるシナリオを描いてきた米中の貿易協議ですが、
追加関税の扱いなどの問題も残り、その交渉は長引いています。

しかし、
米中両政府は4月下旬に閣僚級の貿易協議を開く方向で調整を始めているとされており、
貿易協議の決着を目指す首脳会談を
5月下旬〜6月上旬に開催したいという意向が示されました。

今後スムーズに進めば、
今年の5月中までに米中貿易に関する問題が妥結され、
トランプ大統領と中国の習近平国家主席が合意に署名する事となります。

なお、
米中貿易交渉に関する最終的な合意が近づいてきている事を受け、
ドル円相場はドル高円安の動きが強まりました。

4月19日現在は1ドル=111.8〜112円近辺でのもみ合いが続いている状態となっていますが、
今回の貿易摩擦に関する問題は極めて複雑である為、
容易に両国で合意が得られるとは限りません。

交渉がさらに長引き、
世界全体の経済リスクが高まる事もまだ引き続き懸念されています。

果たして、
この米中貿易協議の行方はどうなるのでしょうか。

まずは、
その問題の起因となっている
「米中貿易戦争」についての基本的な概要を解説していきます。

米中貿易戦争とは?

では、そもそも「米中貿易戦争」
とは何なのでしょうか?

米中貿易戦争(米中貿易摩擦)とは、
アメリカと中国の二国間における貿易問題のことであり、
両国間でお互いに関税(他国製品を輸入する際にかける税金)を引き上げた事で勃発しました。

アメリカは過去最高の貿易赤字を記録

この米中貿易戦争の始まりとなったのは、
2018年以降実施された両国による追加関税によるものでしたが、
その背景には中国に対するアメリカの莫大な貿易赤字の問題がありました。

2018年2月6日に米商務省が発表した2017年の貿易統計にて、
アメリカの財(モノ)の貿易赤字額が7962億ドル(約89兆円)と発表されましたが、
それが前年対比で約8%の増、
そして2008年以来となる9年ぶりの赤字額となったのです。

その中でも特に対中国に対する赤字は過去に続き莫大な額となり、
全体のおよそ半分を占める3,752億ドルにも及びました。

そして、
なんとアメリカの対中赤字額が今回で過去最高となってしまったのです。

出典:ニッセイアセットマネジメント

トランプ大統領はこの貿易赤字に関して「赤字削減」を公約に掲げていましたが、
政権発足後も
その貿易赤字は増えていく結果となってしまいました。

そしてこの対中貿易赤字の拡大を受け、
トランプ大統領は中国の習近平国家主席に対して
「持続的ではない」と指摘したのです。

追加関税をかけ合い米中でチキンレースが繰り広げられる

その後の2018年3月、
莫大な貿易赤字や中国の知的財産権侵害などを理由として、
トランプ大統領は中国に対し、
最大1300品目で500億ドル規模の輸入に制裁関税をかける事を発表しました。

これに対して怒った中国もすかさず「そっちがその気なら、
こっちからもアメリカに対して関税を同額かけてやる」
といった勢いで両者の貿易戦争が始まり、
互いに関税をかけ合う争いが勃発したのです。

このように、アメリカと中国の間でチキンレースが繰り広げられていったのですが、
トランプ大統領は一歩も引く事無く、
「アメリカ・ファースト」を貫いていきました。

その結果、
2018年の7月から9月までに両国は合計3回の追加関税を相互に科す事となったのです。

アメリカ 中国
追加関税第1弾(7月) 340億ドル相当のハイテク製品などに25% 340億ドル相当の大豆などに25%
追加関税第2弾(8月) 160億ドル相当の化学品などに25% 160億ドル相当の石炭などに25%
追加関税第3弾(9月) 2000億ドル相当の日用品や家具などに10%(25%への引き上げが検討されている) 600億ドル相当の天然ガスなどに最大10%
追加関税第4弾(未定) 3000億ドル相当の輸入全品に10%または25%

(※2019年4月現在)

2019年4月現在に至るまで、
合計3回の追加関税が実施されましたが、
影響の小さいものに少額で関税が追加された後は次第にその金額がエスカレートし、
中国は合計1,100億ドル、
アメリカは合計2,500億ドルの追加関税を発動しました。

アメリカはなぜ中国に関税をかけたのか

では、
なぜトランプ大統領は中国に対して
関税を引き上げるようになったのでしょうか?

トランプ大統領の真意は定かではありませんが、
様々なメディアによって推測されている主な理由を紹介していきます。

  1. 貿易赤字の削減
  2. アメリカの雇用回復
  3. 中国の知的財産権の侵害問題
  4. 中国との覇権争い 

貿易赤字を削減する為

上述した通り、
トランプ大統領は「赤字削減」を公約に掲げていた為、
この拡大する対中国の貿易赤字を何とか削減したいと考えていました。

現状アメリカの対中貿易では輸出品よりも輸入品の方が多くなっている為、
その国際収支の改善の為に関税で輸入を抑制しようと目論んでいた事が
一つの理由として考えられます。

アメリカ国内の雇用を回復させる為

もう一つの理由として、
アメリカ国内での雇用拡大といった目的が考えられています。

アメリカに中国の安価な工場で作られたような輸入品が増えると、
アメリカの国産品の売れ行きが縮小し、
今後国内での雇用が拡大しなくなる可能性があります。

そこで、国内で雇用を回復させる為、
中国からの輸入に関税をかけて、
輸入品の割合を減らして国産品を増やしていく必要があったのです。

中国の知的財産権の侵害問題

そして、
アメリカが中国の関税を引き上げた大きな理由の一つとして、
中国がアメリカの知的財産権を侵害していた事が挙げられています。

知的財産権とは、
主に著作物やソフトウェアなどといった無形の財産に関する権利のことです。

中国は国際社会で定められているWTO(世界貿易機関)のルールを無視した
産業スパイやサイバー攻撃などによって、
アメリカの企業の機密情報などを盗難していました。

それらの情報を使って中国製品を安価で創り出し、
世界に売り捌いていたのです。

更に、
中国ではアメリカから進出してきた企業のIT技術などを使って
中国人民軍へと技術を移転している、
といった問題もアメリカで懸念視されました。

それらに怒ったトランプ政権は、
中国の知的財産権侵害によって
アメリカ企業は年間およそ500億ドルにも及ぶ損害が出ていると発表し、
それの制裁の為もあって関税を引き上げる事となったのです。

中国との覇権争い

そして、
トランプ大統領が「世界経済の主導権を中国に奪われたくない」
と考えている事も関税引き上げの理由の一つとして考えられています。

中国は2015年に「中国製造2025」と呼ばれる国家戦略を発表し、
2025年までに製造大国としてハイテク分野で世界最強の製造強国になる事を掲げました。

中国は世界のGDPでも2位に位置している為、
No.1の国をこれからも維持し続けたいアメリカにとって中国は脅威的な存在となっていたのです。

・中国のGDP

出典:Google

もしも中国製造2025による国家戦略がロードマップ通りに実現すれば、
アメリカは将来中国に敗れ、
世界の基軸通貨である米ドルのポジションが
人民元へ奪われてしまう事にもなり兼ねません。

よって、
アメリカは中国に覇権を取られないよう
本気で潰しにかかっているのではないか、
といった思惑があるのではないかと考えられています。

米中貿易協議の進展は?

では以上を踏まえ、
米中貿易戦争を巡った貿易交渉の協議にて、
これまで進められてきた最新の内容を紹介していきます。
(※2019年4月19日現在)

中国が2024年までに1兆ドルの輸入拡大を提案

2019年1月、
中国政府がアメリカからの輸入額を2024年までの6年間で
合計1兆ドル(約112兆円)以上に拡大し、
貿易黒字を解消させる提案をアメリカ側に示した事が報道されました。

中国税関総署によれば、
2018年の中国の対米貿易は輸出が4,784億ドル、
輸入が1,551億ドルとされ、
貿易黒字が3233億ドルだった事が明らかとなったのです。

出典:KYODO

そして、
中国政府は2018年まで約1,550億ドルだった対米国の輸入額を、
2019年にはまず2,000億ドルへと拡大し、
さらに2024年までには年間6,000億ドルまで増やすと計画しているようです。

このように、
中国政府は細かな数値目標をアメリカに対して提示し、
米中協議の進展を狙いました。

米中政府が為替操作防止策で一致する

2019年4月12日、
米中貿易協議にて両国の政府は中国の為替操作の防止策を盛り込むことで一致しました。

その具体的な防止策は、
アメリカが中国に対して経済政策に関わる
情報開示の拡大を義務づけるというものでした。

そして、
中国が輸出拡大に伴う為替操作を行った場合に罰則が科される
といった内容も今後の合意に含まれる可能性があるとされています。

そもそも、
アメリカは中国が自国通貨である人民元を安く誘導して
アメリカへの輸出を促進している事を懸念していました。

人民元安となれば、
中国側は自国の輸出に有利となる為、
貿易赤字のアメリカ側は人民元安となる事を阻止したいと考えていたからです。

なお、
米中貿易協議に関する全ての議題で合意されるまでは、
上述した防止策の内容も最終合意に至らないとされています。

中国が知的財産権の侵害を認める

2019年4月3日、
ワシントンで開催された閣僚級協議にて、
中国側が知的財産権の侵害やアメリカ企業に対する技術移転の強要、
そしてハッキング行為などについて
初めて認めた事を明らかにしました。

そもそも中国はこれまで知的財産権の侵害に関する問題に対して
「自分たちは関与していない」
と全面的に否定し続けてきましたが、
ようやくその侵害について認めた形となりました。

今後中国が知的財産権の侵害を辞めるとなれば、
米国の経済的損失リスクが回避される方向に向かう事でしょう。

なお、
今後両国は各分野に関する合意文書をまとめた上で
首脳会談を開き、正式な合意へと持ち込む流れとなります。

米中貿易協議の今後のシナリオは?為替や株価への影響

これらの米中貿易戦争に伴う協議は
世界経済のリスクを高めるファクターともなり得る為、
今後のシナリオ展開は非常に重要です。

そして、
今後起こり得る貿易協議のシナリオとしては、
現状主に「合意」「交渉継続」「交渉決裂」の3つが考えられます。

5月中に米中貿易協議が合意される

早期に両国間の貿易問題が解決されて、
5月中に米中貿易協議が決着する、
というのが一つ目のシナリオです。

貿易戦争は両国の経済に関するリスクを高めるものであり、
互いの制裁関税が両国にとって経済成長を妨げる要因となり得ます。

なので、
両国とも早期で合意してしまい、
この貿易協議を終わらせよう、
といったシナリオがこの「早期の合意」です。

もしも早い段階で貿易協議にて両国の合意が得られれば、
世界経済に良い影響が及ぼされる公算が一層高まります。

なお、アメリカの株価指数であるS&P500を見ると、
既に年初以来から18%近い上昇を見せている事が分かる為、
市場は早期の合意を織り込んでいるのかもしれません。

また、
経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は、
4月15日に時事通信とのインタビューにて「数週間以内で合意に至るだろう」
予想しており
早期の貿易協議における合意を期待していました。

米中貿易協議の合意が得られず更に交渉が継続される

次に想定されるのが、
結局5月中の合意には至らず、
更に交渉が継続されるといったシナリオでしょう。

これまで議論されてきた貿易戦争に
起因するような懸念点はいくつもあり、
早期合意はやはり容易ではない、といった見方もできます。

しかしこうなってしまった場合、
アメリカの中国に対する追加関税が発動して
経済に悪影響を及ぼす可能性も高くなってしまいます。

市場では米中協議の進展が観測されている傾向にあると思われますが、
やはり交渉は妥結するまで何が起こるか分からないと言えるでしょう。

交渉で米中の意見が対立して追加関税が発動される

そして、
最悪のシナリオとなるのが、
米中協議にて交渉がまとまらず決裂し、
互いに妥協点を見出せずに追加関税が発動されるケースです。

仮に次の貿易協議にて互いに合意とならなかった場合、
今後長期にかけて引き続き激しい貿易戦争が引き起こる可能性もあります。

現状こういった可能性はあまり高く無いとも思えますが、
トランプ大統領がいつツイッター上で暴言を吐くかも予想が出来ません。

なので、
市場が予想外の方向へと傾くリスクには
常に注意を払っておいた方が良いでしょう。

米中貿易協議に関するまとめ

2018年に入り、
関税のかけ合いによる激しい貿易戦争を行ってきた米中ですが、
その関係性は現在に至るまでの数ヶ月間で大きく和らいでおり、
問題の改善に向かっていると言えるでしょう。

一部では、
「この米中貿易戦争は実際それほど酷いものでは無い」
といった見方もあるくらであり、
アメリカと中国の株価指数も今年に入って右肩上がりとなっています。

ですが、
交渉が前向きに進展しているとはいえ、
最後まで何が起こるかは分かりません。

なので、
引き続き想定外の事態に備えながら、
マーケットを注視しておくのが良いでしょう。

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4 件のコメント

  • オフィシャルパートナーズが5月6日まで休みなので、こちらで質問させていただきます。プロコンの話ですがパラボリック等よくわかりません。もう少し詳しく教えて欲しいのですが。

    • 中村さま
      コメントありがとうございます。

      >パラボリック等よくわかりません。

      ↑パラボリックとは
      比較的メジャーなオシレーターのひとつです。
      詳細については申し訳ありませんが
      同名で検索してもらったほうが
      詳しい内容が確認しやすいと思います。

      僕はオシレーターの詳細については
      決して詳しくありませんので(汗)

  • 及川先生はじめまして。
    最近トレードを勉強しつつ実践しております。及川先生のYouTubeを知って、短時間でのトレード勉強のために拝見させてもらってます。
    今壁に当たっており、勝っている時は勝ちが積み上がるのですが、負ける時はとことん負けてしまいます。
    原因は勝っていると楽になり自分の読みを信じる事が出来てpipsを伸ばして利食いラインで終われるのですが、
    負けている時は利食いラインでもまだ伸びるのではないかと一瞬考え手が遅くなります。
    その結果、急激に読みとは反対に行き、薄利で終わるか損切りラインで切るよく言われるコツコツドカンのパターンになります。
    先生のYouTube見ていると負けている時でも落ち着いてトレードしていますがその考えに至るには経験なのでしょうか?
    まだ1ヶ月程度ですが、ここの壁を超えて次のステージに行かなければ資金を減らし続けるのは明らかなので、気持ちを落ち着かせてトレードをするコツなどがあれば教えて貰えると有難いです。

    • 村上さま
      コメントありがとうございます。

      >今壁に当たっており、勝っている時は勝ちが積み上がるのですが、負ける時はとことん負けてしまいます。
      >負けている時は利食いラインでもまだ伸びるのではないかと一瞬考え手が遅くなります。

      ↑後半部分、お気持ちは充分理解出来ます。
      というか、共感される人も多いと想像しますね。

      念のため申しますが
      僕も「勝ち損ね」や「逃げ遅れ負け」はチョイチョイあります。
      同じ人間ですから。

      >先生のYouTube見ていると負けている時でも落ち着いてトレードしていますがその考えに至るには経験なのでしょうか?

      ↑「経験」で片づけてしまえば実際その通りだと思いますが
      もう少し深堀りすると、
      なんていうか「割り切り」の部分が大きいです。

      「相場なんてそんなもん」
      「どうせこっちの都合よくは動かない」

      ここに対し割り切れているというお話です。

      僕はよくトレードを
      女性を口説く行為に似てる、と言いますが、
      まさに女性もそうじゃないですか(苦笑)

      思わせぶりな態度を取られ
      けどスケベ根性出して接したら
      スカタンこかされて恥かいて終了、みたいな^^;;

      相場でもこんな気持ちに何度もさせられた経験から
      僕はハナから信用しないと決めているわけです。

      「思うようにならないのが普通」

      こういう感覚を常にアタマに置いておくことで
      より着実に、、、という方向に向かいやすいと僕自身は思っています。

      ご参考になれば幸いですが、
      どんなもんでしょう(汗)

      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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