最近では、TVの経済番組でゴールドやオイルの動向も
為替動向と同じように報道されるようになりましたが、
実際はドルと金との関連性をきちっと把握できてない投資家は多いのではないでしょうか。
そこで金相場についてご紹介する前に金相場の推移を見てみましょう!
金相場の推移 〜変動相場制への移行
1971年、ベトナム戦争時の財政難で苦労していたアメリカは
金と米ドル交換停止を電撃的に宣言(ニクソンショック)しました。
これにより固定相場制は崩壊し、金相場は変動相場制に移行していくことになりました。
ちなみに2年後の1973年には主要通貨も変動相場制に移行しました。
上記の2001年前後のチャート推移をご覧ください。
20数年に及んだ長期下降トレンドからの転換具合が良くわかると思います。
その背景には2001-2008年頃までに金は世界的な減産傾向にありました。
2009年から毎年100トン以上ベースの増産体制に入りましたが、
増産による金価格の低下は見られませんでした。
なぜなら、その時代背景として主要国をはじめとする世界規模の金融緩和政策によって
貨幣投資の魅力は軽減し、機関投資家に代表される大手バイヤー達が
多額の資金の一部を金投資に移行していたからです。
主要中央銀行は金購入をしばらく静観していましたが
、2010年以降は大きな買い手の一角なりました。
(その背景には1999年の中央銀行の金の売却制限があります)
また、宗教的背景もありますが、
中国、タイなど中東国の一般投資家たちも金への信頼を増幅させてきています。
投資家の心理としては、主要通貨・基軸通貨であって金利も付いていた米ドルやユーロは
長期にわたる金融緩和政策の為にその魅力が少なくなり、
わざわざ無金利の上昇トレンドにある金投資に目を向けてきたのです。
結果的には、世界の金融情勢や政治不安が膨らんできている為にリスクオフとなり、
安全資産である金へシフトしてきたのです。
ドル円相場と金価格の相関性
上記のチャートはドル円相場と金価格の直近6カ月の相関性を表したものですが、
綺麗な逆相関になっているのがわかります。
ユーロは長期にわたる金融緩和政策の為にその魅力は少なくなり、
無金利の上昇トレンドにある金投資に目を向けてきたのです。
最近は金相場とドル相場は逆行しているとか言う話をよく耳にしますが、
ドルをはじめとする「通貨」から「金」へ投資対象を移行させてきているといえます。
下記のチャートは、上記チャート同様に米10年債金利と金相場の負の相関図(逆相関)を表したものです。
簡単にはドル(株式市場が下落しているときも)が安くなるトレンドでは金が買われ、
ドルが高くなると金は売られるというパターンを覚えておきましょう。
但し、このパターンは、常にそうなるものではなく、
有事の際にはドルと金が他の主要通貨に対して
『双方ともに買われる』こともありますので注意が必要です。
常に商品相場は需給関係要因で価格形成がなされますが、
金の場合には昔から通貨価値としての一面も持ち合わせていることから、
ドルの価値が上昇すると金価格は下落するというのが、最近の兆候と言えるでしょう。
ご紹介した相関図で理解していただけたと思いますが、
株式市場や米国債利回りとの関連性を簡単に表にまとめてみました。
上昇 | 下降 | リスクオン | リスクオフ | |
米国株 (ダウ) | 日本株買い | 日本株売り | 買い | 売り |
日本株 (日経平均株価) | 円売り | 円買い | 買い | 売り |
米国債 (利回り) | ドル円買い | ドル円売り | 売り 利回り上昇 | 買い 利回り下降 |
金相場 | 米ドル売り | 米ドル買い | 売り | 買い |
追加で、金と原油の相関性の推移を表したチャートを掲載しておきます
金とドル同様にこの時期は負の相関(逆相関)関係が、かなり強いことがわかります。
ご参照ください。
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