FX取引の原油価格の動向で
日本のFX投資家に人気なのはAUDUSDです。
AUDUSDには価格のアップダウンがあり、
経済ニュースでも頻繁に原油と金などの価格動向が報道されています。
例えば、シカゴを中心とした国際的な資源価格が好調になると
豪州の経済が好調だと判断されて、
それに伴いAUDUSDの買いや通貨価値の買いが行われるようになります。
ところが、国内製造業の育成・保護に重きを置いてきている豪州にとっては、
「この資源価格の変動が経済に大きな影響を持つこと」を1つの問題と捉えています。
資源価格が経済に与える影響と、その危険性
先の通り、豪州は製造業の育成に必死になっています。
どうしてそんなに必死になるのかというと、
経済全体が豪州の資源に依存し過ぎると、
経済全体が世界的資源価格の変動に影響され過ぎてしまうからです。
例えば、資源価格が暴落するようなことになると
それはそのままAUDUSDの暴落の誘い水になりかねません。
なお、国内の資源は有限であって、
鉄鉱石や油でもいずれ採りつくされてしまうことを想定すると
豪州の長期にわたった経済状況が資源に左右されてしまうことはリスク材料となり得ます。
ですから、豪州はそれを危惧して製造業に力を入れているのです。
参考:http://www.toushilabo.com/learning/basic_fx/backnumber/17.html
ここで、資源国が抱える深刻な問題を整理しておきましょう。
資源国が抱える深刻な問題
- 資源国の経済は値動きの荒い国際的な資源価格に大きな影響を受ける
- 資源はいつか枯渇する可能性がある
- 一つの国の大切な将来を長い間に資源に依存するのはリスクが大きい
上記のような問題を抱える資源国は「オランダ病」という病を抱えています。
オランダ病というのは、
「自国通貨が高騰して自国の製造業界が育成されない」という現象のことを指します。
オランダ病の発祥は
1970年代の継続的なオランダ通貨の値上がりで、
その原因は石油や天然ガス価格の高騰によるものでした。
この現実がオランダの製造業界に大きな悪影響を与えたのです。
通貨高によって輸入競争力が高くなり輸出競争力が低下し、
他国から価格が安い工業加工品が入ってくるようになり
国内で輸入製品が幅を利かせるようになってしまったのです。
これが「資源価格の高騰=製造業弱体化」の構図となります。
ロシアでも起きた「オランダ病」
上記のような現象は、天然ガスや石油資源国であるロシアでも起きました。
その当時、資源価格の上昇で
資源の輸出による利益を国の再生・発展の資金としていましたが、
製造業の景気が極端に低下するという経済パターンが定石となってしまったのです。
海外からの製造業産業を誘致しようと
努力をしていたロシア・ルーブルの高騰によって輸出が困難となり、
海外からの輸入品との激しい価格競争を行わざるを得ない結果になってしまったのです。
これにより、資源価格が上がると通貨価値が上がり、
製造業が苦しむというジレンマに悩まされているのです。
ロシアや豪州に代表される資源国家のターゲットは、
資源経済からの脱却と認識されます。
資源輸出は資金算出の為の重要手段ではあるが、
そのためには、製造業など高付加価値の産業を育てていく事が
切実な課題とされているのです。
永遠ではない資源とロシア経済への期待
資源価格は流動的で、資源そのものが永遠に採れるものとも言えません。
経済が好調で目標産業強化に資金を回せる状況であったとしても、
通貨高になって製造業の競争力が下がるという現象が起こるのです。
参考:https://www.pictet.co.jp/archives/74202
長期的にはロシア経済で少しずつ産業が発達していく事によって、
このトレンドが解消していくものと思われます
欧米が国家のバランスシートや経済状況の悪化により
金融緩和に全力を阻止でいた時期に
需要回復に貢献して世界経済を支えたのは
中国やロシアを含むBRICKSであったのは事実ではあるが、
今や中国も新興国パワー景気が上抜けせず足踏み状態にあります。
これもまた、原油価格が回復しない要因の一つとも言われています。
1998年の通貨危機以降の10年間は中国同様に高度成長を継続していたロシアですが、
好調を支えてきた原油高によって海外からの資本注入が発生したことでルーブル高となりました。
潤沢な資金を他産業の育成資金に回せたのが、
リーマンショック(2008年)後には、原油価格・ルーブルが急激に下落して個人消費の低下を生み、
資本が流出したことで恐ろしい程の景気悪化が起きました。
2009年以降の経済成長率は目を覆う程のマイナス成長となったのです。
*豪州もロシアも今後は
海外主要国からの直接的な投資を継続導入・誘致する事が資源国脱却としての課題であって、
長期的には少しずつ国内他産業が発達していく事によって
このトレンドが解消していくものと思われます
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