米国株価指数運用とは?
ブルームバーグの最新情報欄で面白そうな記事があったのでご紹介します。
巨額の株式指数の運用資金はドル円相場に影響を与えます。
FX取引をされている皆さんは、このことをしっかりと押さえておきましょう!
Asset Managers Diverge From S&P as Outflows Rock Shares: 2017-01-30 11:00:00.2 GMT
By Felice Maranz and Joseph Ciolli
(Bloomberg) — The rise of passive investment funds is taking its toll on the stock prices of their active counterparts. An S&P index of asset managers has dropped 2.8 percent so far in 2017, compared to a 2.5 percent gain for the benchmark gauge. The underperformance comes while firms from Franklin Resources Inc. and T. Rowe Price Group Inc. to Janus Capital Group Inc. see mounting net outflows as investors shift funds into passive vehicles and fees come under pressure.
米国のS&P500株式指数は年初来2.5%下落しています。
※S&P500
(エス アンド ピー ファイブハンドレッド、
Standard & Poor’s 500 Stock Index)は、
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している
アメリカの代表的な株価指数です。
この指数をベンチマークとしてアクティブに、
セクターアロケーションや個別株式ウエイトを
マネージャーのビューに応じて変更することによって
ベンチマーク指数を上回る投資リターンを上げることを目標とする
アクティブ運用スタイルの指数は2.8%も下落しており、
パッシブ運用戦略の優位性が明らかになっているというのです。
その原因はどこにあるかというと、
アクティブ運用ファンドからの投資マネーの引き揚げのきつさにあります。
米国証券アナリスト資格試験では
マーコウィッツの現代投資理論を必ず学ぶらしいのですが、
投資ユニバースの構成銘柄すべてをその時価ウエイトで保有する
マーケット指数を上回るリターンを稼ぐことはできないというわけです。
これがパッシブ運用の優位性を主張する本質的な前提です。
しかしながら、現実の世界ではまだまだ
アクティブ運用ファンドの占める割合が圧倒的に高いのも事実だそうです。
チャートで確認してみましょう
この記事では2017年最初の1か月間の結果だけを引き合いに出していますが、
それをもって結論付けるのはいくらなんでも強引過ぎます。
そのため、まずは下記に2005年末からの11年1ヵ月、
2014年末からの2年1ヵ月のパッシブ指数(S&O500 Index)の推移を載せてみました。
アクティブ運用指数(S&P Asset Manager Index)の推移
チャートの分析
上の中長期チャートでは明らかに2010年以降、
パッシブ運用のリターンが優勢になっていることが確認できます。
そして、下の短期チャートでは、
原油価格の下落が深刻化した2015年下期から
両者の差が大きく拡大していることもわかります。
現象としてはそのように見て取れるのですが、
そのような差が何故生まれたのかが問題視されますが、
やはり投資家側の厳しい運用報酬カット要求がモノを言っているのでしょう。
そういえば昨年は優秀な投資ストラテジーであるはずのヘッジファンド業界も、
その法外に高い運用報酬に見合うだけの
投資成果がみられないということで激しい資金流出に見舞われ、
結果的に生き残るために運用報酬(carried interestと言います)の
引き下げに追い込まれたファンドもあったそうです。
今や人工知能による運用などというものまで出現しており、
運用の職人としてのアクティブマネージャーの地位は
益々落ちていくばかりで厳しい時代です。
そこで、じゃあ日本にいながら上昇傾向にある(あった)
米国株式に安価に投資できる商品はないものかって話になるわけですが、
上記の2つのチャートはステートストリートが運用するSPDR500 ETFと
日興アセットが出している上場インデックスファンド米国株式ETFです。
その信託報酬欄を見ると前者が0.0945%、
後者は0.16%(税前)ということで、
本当にスズメの涙の世界となってしまっています。
アクティブ運用の株式ファンドは
軒並み1%とか1.5%取るのが普通です。
ETFなら、その10%のコストで運用できてしまうので
結果的にはこれは大きな差と言わざるを得ないです。
でも、この二つのETFは当然ながら円建て、
ということは為替変動の影響を受けるので
入るタイミングを間違えると手酷くやられてしまうリスクがあります。
下手するとアンダーライイングの株式指数でやられ、
円高でもやられるという局面もあるので注意が必要ということになります。
ということで今流行りかどうかは知りませんが
FXを為替リスクヘッジのツールとして利用すれば
少なくともアンダーライイングのキャピタルゲインに近いものが
享受できることになります。
米国株が既に史上最高値にあってここからエントリーするのは危険、
という可能性は全く無視した上での話ですが、
パッシブVSアクティブ運用・・・
事実としてはパッシブの方が良いのではということになりますが、
特に市場規模、流動性が高い市場ほど動かしがたい事実といえるでしょう。
しかしながら、なかなか情報が得られない、
得られてもそれが価格になかなか反映されづらいような
新興国市場では話はかわってくると思います。
歪みの中に勝機ありというわけでリスクは高いのですが、
アクティブ運用の強みが発揮できる市場は
まだ消滅していないと信じたいという結論となります。
上場インデックスファンド
米国株式(S&P500)とは?
S&P 500指数に連動する運用成績を目指すインデックス運用型のETFです。
運用会社は、日興アセットマネジメント株式会社です。
コストである信託報酬の面から考えると割高ですから、
長期投資として利用するのであれば同じベンチマークに連動する
SPDR S&P500 ETFを採購入した方が良いといわれているようです。
出来高も多い訳ではなく、むしろ少ない方ですから
デイトレ・スイングトレードのように
流動性が気になる取引にも利用しづらいようです。
総合的に、微妙なポジションの銘柄であり、
今後コストの改善を期待したいところですが、
SPDRと比べるから高く感じられるようです。
*上場インデックスファンド米国株式(S&P500)の概要
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