【円高円安】仕組みを理解をすれば今後の推移が予想できる

円高・円安
あなたはなぜ相場が円高円安に動くのか、その仕組みをご存知だろうか。

もし正しく理解していないというのなら、仮にもトレーダーを名乗るのは恥ずかしい事かもしれない。

仕組みを理解せずに相場を理解しようとしているのはいささか滑稽だ。

今のうちにこの解説を読んで正しい円高円安の知識を身に着けてから為替市場と向き合おう。

円高・円安の推移は予想が可能なのか

2016年11月、大半の市場予想を見事に裏切ったトランプ氏勝利により劇的な幕を閉じた米大統領選挙が記憶に懐かしい。

その時の市場関係者はマーケットの意外な動向に踊らされてしまったのが実に興味深かった。

トランプ氏勝利の場合、大半の市場関係者はドルの失望売り、株価暴落、長期債券利回り下落、いわゆるリスクオフ傾倒を予想していた。

しかし蓋を開けてみれば正式な選挙結果がわかる前の105円台から、106円後半のドルブル相場―リスクオン相場へと進行した。

最近では、毎日のように為替レートの変動をTVニュースでも聞くことが出来るようになり、投資家に関わらず、一般消費者も円高・円安に興味を持ち、その動向要因にも耳を傾けるようになってきた。

円高・円安という言葉は、われわれ日本人が日本にいながら感じる言葉で、円を主人公に見立てて(サブジェクト)使われる言葉である。

今回は、この円高・円安について解説をしていきたい。

USDJPY(ドル円)相場を決める仕組みを理解する

大統領選挙や政治的要因、地政学的要因など、色々な要因はあるが、USDJPY(ドル円)相場を決める要素は大きく2つに大別されます。

 

1.米国と日本の金融政策の差

2.マネタリーベースというセントラルバンク(FRB&BOJ)が供給する通貨量の相対比(米ドルの総額と日本円の総額の比率)

 

米国はリーマンショック後にドルの供給量を
実に3倍強に速いペースで増やしてきた事実があります。

対して日本は2013年の春からの異次元緩和―マイナス金利導入での総額が急上昇し、
2016年8月末で400兆円(前年比25%近いプラス)を超えるレベルまで急激に伸びています。

ということは、BOJ(日銀)は年間目標80兆円規模で
国債中心に金融資産の買い入れを継続していることになります。

ドル円相場の推移は対円でドルが増えると円高になる傾向が強く、
円の増加傾向が継続してその差を詰めてくると円安にぶれやすくなっています。

 

認識しておきたい2つの原理

 

1)少ない方の通貨は価値が上がるために高くなり、覆う方の通貨は希少価値が低下して安くなる。

2)問題となってくるのは、先進国でもトップクラスな日本の巨額過ぎる外貨準備高。GDPを考慮しても高い数値となっている。

実際に当局は、外貨準備の運用にあたり外債のロールオーバーをかなり前から行っています。

本来は償還期日が来ればその大量な外貨を円に両替するのに円買いが発生するところ、
当局は、再度の外債購入で円需要を消し去って
外貨需要を増加させている手法を選択しているのです。(闇の為替介入

ちなみに日本の外貨準備高は中国に次いで世界第2位で、
そのトップテンは意外な国も出てきます。これらは頭に入れておくようにしましょう!

外貨準備高

  1. 中国
  2. 日本
  3. サウジ
  4. スイス
  5. 台湾
  6. アメリカ
  7. ロシア
  8. 韓国
  9. 香港
  10. ブラジル

 (2015年の世界銀行データより

 

円高・円安などのUSDJPY(ドル円)の為替動向は企業には影響大!

円高・円安などのUSDJPY(ドル円)の為替動向は、企業には大きな影響があります。

特に日本は、主に輸出産業が円高で相当な企業利益を削られて被害を被ってきました。

最近でこそTOYOTA、SONYなどを中心とした
日本を代表する企業の決算で為替差益による影響を勉強する機会が増えてきましたが、
結果的には為替動向も経営方針の責任の一角ととらえられるようになりました。

特に2012年あたりは大手国内電機メーカー(2014年は円安によって黒字)や
ソニーやパナソニックなどは大きな赤字を被っています。

 

覚えておきたいこと

俗に輸出企業の売上高の70%強は、為替動向で決まってしまうという恐ろしい事実がある。

企業においては、より適正な為替予想も必要となり、その対策のプロ集団の養成が急務である。

問題は、各企業の経営判断において
為替動向というコントロール・予測難解な外部要因が大きな要素になっているということが
しっかりと報道されていないことであり、
その道のプロの養成が欧米と比較して遅れていることが事実としてあります。

例えばアメリカでは、高校あたりのジェネレーションから、
「一人当たり10万ドルを持ったら、あなたはどのような投資・運用をするか?」
等の仮想ディールを兼ねた授業を、かなり前から実施しているのです。

ニュースや当局のコメントによると
「為替は市場が決める」というように伝えてはいますし、否定もしませんが、
実はこのマネタリーベース比がドル円相場動向のベースにあるのです。

ソロスチャートが示す乖離

ソロスチャートが示す乖離

参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-08/O6R0NR6KLVRE01

 

上記は抜粋したチャートですが、
日米のマネタリーベースの比較罫線をソロスチャートと市場関係者は呼んでいます。

示しているのは、じゃぶじゃぶと過剰になった円が
価値を下げる要素が強まる可能性が大きいという分析結果ということである。

尚、日銀のコメントによると最近のUSDJPYは
基本であるファンダメンタルを無視して勢いだけで動いてしまうケースもあるが、
日本の最近のマネタリ―ベースの増加の勢いを考えると
円高に進行する局面は後退していくだろうとのことです。

現在進行中の異次元緩和を継続した場合、
我が国のマネタリーベースは
2018年末ごろには
500兆円を軽く超えてきそうな勢いで名目GDPを上回ってしまう可能性があり、
USDJPY相場は101円までのオーバーシュートや調整局面はあり得るが、
2016年末には理論上120円近い円安に傾斜してもおかしくないということです。

 

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