私自身は車に乗らなくなって久しくなりますが、
ガソリン価格や灯油価格を決定する原油価格は多くの家庭にとって切実な問題です。
原油価格はここ15年前あたりから新たな局面に入りました。
1998年頃の最安値を記録してから
OECDによる生産調整と世界成長による需給の増加によって上昇トレンドとなり、
2008年7月に1バレル=147.3の高値を記録していました。
しかしながら、雪崩式の米国の不動産価格崩壊により
世界的な金融や経済の悪化で原油価格は下落し始め、最高値から半年もしないうちに大暴落しました。
その後、中国や新興国の経済成長に伴う需要で持ち直したものの、現在は40ドル半ばで推移しています。
原油価格と米ドルの関係性
原油価格が世界経済に与える影響は非常に大きく、
その価格動向は国際情勢や宗教戦争などが影響してきます。
その価格変動は非常に激しいものです。
最近では2014年に108ドル近い高値を付けてから、
2015年3月にはなんと43ドル36セントまで急降下しました。
当時、ゴールドマン・サックス証券が20ドル割れも危惧していましたが、
2016年早々には最近の安値30ドル割れも記録していました。
原油取引はWTI(高品質のテキサス産でニューヨークのマーカンタイルで取引)が代表的です。
欧州産の北海ブレンドと中東ドバイの3大原油が指標となっています。
通常、我々金融関係者がウオッチしているのはWTI(NY原油)です。
基本的な認識からすれば、原油価格の下落要因は世界的に原油に対する需要が減少するか、
供給過剰なうえに経済状況も低下しているということ。
為替市場に比べれば原油市場はマーケット規模も小さくてボラティリティ(価格変動)が高いことが特徴です。
ドルがボックス相場(値動きの少ない相場)となっている時に原油価格が大きく上がると
ドル安になりやすいという特徴も持っています。
原油価格が下落してきた場合、輸入コストの低下が始まるため、ドル上昇の兆候ともいえます。
リーマンショックやそれ以降の低金利時代突入後、
中東とシェールオイル問題を含めてアメリカの原油を巡る対立が継続して
その生産量などでOPECがらみで価格形成に影響しているのです。
原油価格を決める要因は何か?ここをチェック!
原油価格を決めているのは、需給要因の他に金融要因、地政学リスクがあります。
ドルとの関連性を確認する時にはEURUSDと原油価格の相関性をみるのですが、
ドル安になると原油価格上昇になる兆候があります。
上記で述べたようにドル安が原油上昇に関わる根拠として以上の2点があげられます。
- 原油はドル建てで取引されるので他の通貨に比べて割安感でドルが買われる。
- ドルの代替資産として実質資産が好まれる。
OPECによってドル建ての原油収入が減るために価格上昇を抑えて生産を抑制する。
しかしながら、注意しなければいけないのはドル安=原油高の構図とならない局面も多々あるということです。
2011-2012年がいい例でドル高が進行しても原油価格は100ドルあたりで高止まりました。
これは先程述べた地政学的リスク(イランの核開発疑念)であったこと。
2013年にはドル安が進行したのに原油価格が大きく下落したのは、
中国を中心とした世界的な需要後退が要因と言われます。
尚、我が国日本にとっては原油価格の下落は、
経常収支や貿易収支などの指標の押し上げ要因になります。
ここ数年の原油価格の低迷で貿易収支が大幅に改善したのが円高要因の一つにもなっているのです
(さらなる原油価格の下落はおおきな円買い要因にもなりえます)。
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