はじめに
最近のドル円相場をみていると
株高・円安が連動しているのが毎日の経済ニュースで理解できますが、
逆に株価が不安定になると、為替市場で円高が進む相関関係が見て取れます。
足元のわが国の株式・為替の市場動向を見ていると、
株価が不安定な展開になる時に、円が買い戻され円高が進む傾向が見られ、
株式と為替の市場にはかなり高い相関関係があることが分かる。
その背景には、大手投資家のリスクに対する意識が高まっていることがある。
株価が軟調になると、投資家の多くは保有するリスクを軽減するために、
保有しているドル買い・円売りの持ち高を調整することが主な原因の一つでしょう。
何故にここ数年の間に日経平均と
ドル円相場の相関関係が強まったのかという疑問が湧いてきます。
大きな要因に挙げられるのは、日本の大企業の海外売上比率が、
90年代に比べて飛躍的に増えているという事実があります。
トヨタなどの自動車産業、東芝、ソニーなどの家電産業は
2000年代以降に海外売上比率を大きく増やしてきていますし、
輸入企業であったキリンやイオンなどの内需型企業においても
近年は中国を中心にアジア諸国に積極的に進出し、海外売上を増やしてきているのです。
尚、中国の人民元は米ドルとペッグしているので、
これらの企業の売上もやはり、ドル円レートが円安になる方が有利です。
というわけでこれからも日経平均とドル円相場は、
相関関係が継続する可能性が高いのではと予測されます。
株式投資時にもその企業のニュースや業績だけではなく、
為替レートに関する日米の政策金利や量的緩和の拡大・縮小などにも、
大きな影響があるので注視しておきましょう
(トヨタなどではドル円相場が1円違ってくると年間収益に莫大な差が出てきます)。
相関係数とは
相関係数とは、2つのデータ群の間の相関関係の度合いを示した値ですが、
相関関係とは、「一方が大きく(小さく)なると、もう片方を大きく(小さく)なる」という関係です。
相関係数自体は-1~1の値を示します。
相関係数の読み方には人によって若干違いますが、相関係数をRとすると一般的には下記のとおりです。
- |R| > 0.7 ⇔ 強い相関
- 0.7 >= |R| > 0.3 ⇔ 中相関
- 0.3 >= |R| ⇔ 無相関
相関係数が0の場合、全く相関していない事を意味します。
但し、相関関係があるからと言って、そこに因果関係があるとは限らない事に注意です。
たまたま同じ動きをしていても、
その動きにはそれぞれ別の要因が働いている場合、そこに因果関係は有りません。
要は、トレンド発生時や継続時で
過去のデータで相関性の高い通貨ペアや金利、商品と並べて
相場の動向確認をすることが大切なのです。
同時に時代背景や世界の経済構造によって一概には言えませんが、
相関性、逆相関性の強い比較的中期のチャートを参照してみるのも有効手段です。
直近3カ月で相関性の高いベスト5
1.為替ドル円と米10年債金利 相関係数:0.97796(1/9)
2.為替ドル円と日経平均 相関係数:0.97327(1/9)
3.為替ドル円とNYダウ 相関係数:0.95819(1/9)
4.NY金とユーロドル 相関係数:0.95519(1/9)
5.NYダウと日経平均 相関係数:0.95377(1/9)
直近3カ月で逆相関性の高いベスト5
1.為替ドル円とNY金 相関係数:-0.96205(1/9)
2.NY金と米10年債金利 相関係数:-0.95758(1/9)
3.NY金とNYダウ 相関係数:-0.88692(1/9)
4.為替ドル円とNYプラチナ 相関係数:-0.74365(1/9)
5.NY金とNY原油 相関係数:-0.71610(1/9)
(参考資料 http://lets-gold.net/market/chart2_usdjpy-ny_gold.php)
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