FXの相場が動く要因には下記の2種類があります。
- ファンダメンタルズ要因
- テクニカル要因
テクニカル分析とは、過去のデータを根拠に未来の値動きを予測することです。
チャート上で多種多様なテクニカル指標を用いて行われますが、
ファンダメンタルズ分析は、その国の経済や財務の状況に応じて
値動きの予測を比較的に中長期的に予測する分析方法と言われています。
ファンダメンタルズ分析とは?もっと分かりやすく解説します
例えば株式の取引を行う場合、投資家はトヨタやソニーなどの株の売買をする際に
- 過去の株価の推移
- その会社のバランスシート
- 財務諸表
などを調査して財務状況などを確認や分析をします。
同じようにFXの場合では
- 取引する通貨の金利水準や経済状況
- 政治情勢
などを調べます。これがファンダメンタルズ分析です。
つまり、投資対象の通貨の現状の価値と過去の経済データを見ながら
どのような推移をたどってきたかを分析するのです。
ファンダメンタルズを判断する上での経済の基本的条件とは?
これらを理解するためには「経済指標」をベースにします。
▼経済指標の例
- 金利(アメリカのFOMCなどで発表される各国の政策金利)
- 経済成長率(GDPなど)
- 物価(消費者物価指数など)
- 失業率(米雇用統計など)
- 国際収支(経常収支、貿易収支など)
- 財政収支
- 地政学的リスク
- 選挙結果
そのほかにも多々ありますが、上記に挙げたものが大きな意味で
その国の置かれている現状を判断するうえで代表的なものとされる経済指標です。
発表される経済指標の結果が予想より良ければその国の通貨の価値が上がって買われますが、
悪化すれば価値が下がって売られるわけです。
これらの経済指標の詳細や推移は、FX取引会社の情報、
サービス画面で確認できますので早いうちに勉強しておきましょう。
ファンダメンタル分析の具体的な例
長期間における有効な運用先への資本移動
オーストラリアの政策金利の推移(2000年〜2009年)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2009年 | 4.25 | 3.25 | 3.25 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3.25 | 3.5 | 3.75 |
2008年 | 6.75 | 7 | 7.25 | 7.25 | 7.25 | 7.25 | 7.25 | 7.25 | 7 | 6 | 5.25 | 4.25 |
2007年 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.5 | 6.5 | 6.5 | 6.75 | 6.75 |
2006年 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.75 | 5.75 | 5.75 | 6 | 6 | 6 | 6.25 | 6.25 |
2005年 | 5.25 | 5.25 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 | 5.5 |
2004年 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 | 5.25 |
2003年 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 5 | 5.25 |
2002年 | 4.25 | 4.25 | 4.25 | 4.25 | 4.5 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 | 4.75 |
2001年 | 6.25 | 5.75 | 5.5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 4.75 | 4.5 | 4.5 | 4.25 |
2000年 | 5 | 5.5 | 5.5 | 5.75 | 6 | 6 | 6 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 | 6.25 |
上記は、AUDJPYの長期取引の成功例ですが、
その期間の政策金利と為替動向の推移のデータを拾って載せてみました。
その期間にドル円相場は100-130円、日本の金利は2001年9月の同時多発テロで金融不安が高まり、
0.1%として2007年は0.75%と言うバックボーンでした。
▶︎2000年-2009年 年間為替レート 始値・高値・安値・終値・変動幅・変動率
西暦 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 変動幅 | 変動率 |
2000年 | 67.02円 | 70.96円 | 55.4円 | 63.98円 | 15.56円 | 23.22% |
2001年 | 63.95円 | 67.28円 | 55.98円 | 67.21円 | 11.3円 | 17.67% |
2002年 | 66.92円 | 71.83円 | 62.25円 | 66.6円 | 9.58円 | 14.32% |
2003年 | 66.67円 | 81.13円 | 66.58円 | 80.67円 | 14.55円 | 21.82% |
2004年 | 80.72円 | 85.27円 | 74.26円 | 80.09円 | 11.01円 | 13.64% |
2005年 | 80.14円 | 91.34円 | 76.96円 | 86.25円 | 14.38円 | 17.94% |
2006年 | 86.46円 | 94.19円 | 82.08円 | 93.88円 | 12.11円 | 14.01% |
2007年 | 93.92円 | 107.81円 | 86円 | 97,71円 | 21.81円 | 23.22% |
2008年 | 97.97円 | 104.44円 | 55.02円 | 64.42円 | 49.42円 | 50.44% |
2009年 | 64.05円 | 85.3円 | 55,52円 | 83.59円 | 29.78円 | 46.49% |
上記はAUDJPYに長期に渡って円から豪ドルに移動
→将来の金利の上昇を見込んで2000年1月に67円台ロウで買い
→2007年の高値104円台で決済 出来たという素晴らしい成功例です。
その期間の政策金利は、買ったとき5%で、
決済した時がこの期間のピークで6.75%であったという事実です。
当時に低金利で不安のあった日本円を売ってリスクを避けて
国として安定期に突入した豪ドルを買った事で
為替差益(4,000ピップス)+金利収入まで取得できたという内容です。
現実的に豪州では、2008年には4回の利下げで3%も金利を下げ、
為替もわずか1年で40円近く下落しました。
以上の例は、基本的に両国の金利差を基準にしたファンダメンタルズ分析の一例です。
巨額な資本移動が大きな相場を形成する
さらにEURUSDは、2002年―2008年までの期間になんと7,300ポイント(ピップス)の上昇がありました。
背景には2001.9.11の同時多発テロ以降に米国への不安、不信感が広まり、
主要国がドルからユーロへ資本を避難させたのです。
特に中東、中国、ロシアが巨額の資金-外貨準備をユーロにシフトさせたのを記憶しています。
それ以降、ユーロ―加盟国の金融危機、財務情勢悪化で世界中の資金がドルへと移動しました。
このように避難的に負の資本移動するときのほうが、
為替市場に大きな影響を与えるケースが多いのです。
但し、どのような大きなトレンドも終幕を迎え、ターニングポイントがあるのです。
従ってワンウエイ相場では見逃してしまいそうですが、
相場環境の変化にはファンダメンタル要因を常に勉強(過去のデータからでもよい)して、
常に早急な判断が出来るようにしておきたいものです。
参考:瞬時で要人発言を判断する理解力
(ジャクソンホールで講演時のイエレン氏)
下記のチャートは、8月26日の日本時間深夜に
ジャクソンホールにおいての連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の講演で
「米雇用が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と述べた時の相場の変化を示したものです。
昨年12月に続き、利上げに意欲を表明しました。
また、その直後のFRB副議長のTVインタビューでの年2回の利上げも可能と言った
強気の発言もより一層のインパクトを市場に与えました。
市場関係者の間では「イエレンさんがそれほどタカ派的な発言はしないだろう」との意見が多かったので、
後乗りでもいいから、その状況を理解して行動できる知識を身につけることです。
100.80近辺で買ったとしても短期で利益が出るはずです。
内容は(具体的な時期に言及しないものの、9月の次回会合で利上げする可能性も出てきた。
米経済は成長率の鈍化も懸念されるが「緩やかな拡大が続く」と評価する)。
ついてはロイター通信も以下のように伝えています。
フェデラル・ファンド(FF)金利を引き上げる論拠が過去数カ月間で強まったと確信。(ロイター)
上記のように主要各国の要人が金利政策や重要経済指標後のコメントなどを
イベントでアナウンスする時も事前の情報を仕入れ、その発言に備えることが重要です。
尚、つい前日に100円割れも見せていたトレンドの変化に付いていける可能性を増やすためにも、
経済的にも積極的に知識を増やし、前日のマーケットレビュー等も良く読んで
どのような原因で相場が動いたのかを確認するのも大切な勉強法の一つです。
世界中では突発的に何が起きるかわかりません。
テロ、戦争、宗教、天候等でも為替市場は反応します。
政策金利や経済指標直後のコメントや前月数値の訂正などにも留意しましょう!
テクニカル分析では突発的なニュースやサプライズは
瞬時に予想できません(その結果がチャートに表現される)ので
ファンダメンタルズ分析には磨きをかけて準備をすると
トレンドの早期確認や絶好の中長期ポジション構築のチャンスに成り得ます。
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