この手の話はよく米国を筆頭に
他の先進国の株価に比べて日本の株価は割安ではないかと言われていますが、
記事の主張の根拠はPBR、株価純資産倍率です。
PBR、株価純資産倍率
S&P500指数は2014年以降2.5倍から3倍というところで推移しており、
直近1月末は2.975倍と最も高いところにあります。
それに比べてトピックス指数は1.0倍から1.5倍、
直近はその真ん中あたりの1.27倍で盛り上がりに欠けているのは確かで、
この辺のバリュエーションの割安感が再認識されれば指数の価格も上昇するってことなのでしょう。
でも、今時PBRなんてなんか意味あるのという疑問が湧きますが、
これって企業が清算するような時に
そのまま株の形で他の企業に売ってしまった方がいいのか、
それとも企業資産を売却した方が得なのかと判断するような時に重宝する指標ということです。
また、買収する側にすればPBRが1倍を割れているような企業の株式を買って、
所有した企業の資産をばら売りにすれば儲かるよっていう判断材料になるのは確かですが、
ひょっとしてBBGは「日本株式会社はもう死に体だ」といいたいのですか?と言いたくもなる内容です。
もう少し対象国と期間を長めに取ってみたらどうなるのか?
上記のチャートをみると
米国株式(S&P500)だけ異次元のような評価を受けていることがわかります。
その下は1.5~2.0倍のグループ、
そして1.0~1.5倍の下位グループに分かれているように見えます。
残念ながら日本はスペインやフランスよりも下というところ…
保有資産の質が悪いから評価されていないということなのでしょうかねえ。
東芝が10年前に買ったウエスティングハウスも
結局ババをつかまされたようなものですし、
ソフトバンクも米国で買収した企業が苦戦していたというのも
そうそう昔のことではありません。
思い起こせば、ソニーのコロンビア・ピクチャーズ買収も早く言えば失敗みたいなものです。
企業風土が違いすぎるのに背伸びをするからだめなのかという気もしますね。
同じPBRを新興国株式指数についても見てみましょう
上記のチャートを見ると深セン指数の動きの激しいこと、
期待と落胆の振り子が両極端に振り切れているような感じに見えます。
その他の指数は2~3倍グループ、1.5~2.0倍グループ、
そして1倍近辺で張り付いているシンガポール、香港(ハンセン)、
韓国のNiesと呼ばれた先進工業国という塊に分かれているのが理解できます。
株式投資家もそんなところに投資する気が起こらず、
後退するのも無理もないということでしょうか?
米国10年債利回りの場合は?
次のチャートは米国10年債利回りの15分のバーチャートを
ブルムバーグから取ってきたものです。
2/15日につけた2.52%が格好の上値ターゲットになりますが、
まだトランプの議会発言もこれからでしょうから、これからどうなるか…
財政政策や減税について踏み込んだ内容は明らかにならないとの観測が強まる中、
連銀総裁連中の利上げ前向き発言に市場が飛びついているということは、
既に市場はトランプが何をしゃべろうが喋るまいがお構いなし、
短期的にはドル買いで攻めるんだという意思表示をしているのかもしれません。
先日の経済番組でマネックス証券のストラテジストが
米国株の割高感について警鐘を鳴らしていた根拠の一つです。
このバフェットレシオってなんぞやってことですが…
株式市場の成長率は長期的にはGDP成長率に収斂していくものであるとの前提で
株式市場の割高/割安度を判断する目安に使われる。
長期的にはこの指標が100(Par)に近づくというコンセプトというわけで、
現在はレシオは140どころにあり、この13年あまりで一番高いところにあります。
GDP成長率から正当化される米国株式市場時価総額の増大ペースが
格段に速いことには注意しておいて損はないっていうことでした。
じゃあ日本はどうなの??
という訳で、2003年9月末からの13年余りの期間の大半の期間において
日本の株式市場時価総額は拡大していないっていう悲しい現実に直面しています。
これを見る限りアベノミクスは
2008年~2012年のド底圏から引き上げるのに確かに一定の功績はあったようですね。
とはいえやはり日本としては
なんらかの起爆剤が無いと市場時価総額は増えていかない、
株価も上がらないというどん詰まり状態に甘んじてしまうということではないでしょうか?
(参照―ブルムバーグ) 2017.3.5
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