ドット=フランク法とは?
(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act、ウォール街改革および消費者保護法)
ドット=フランク法とは、オバマ大統領が2010年7月に署名、成立した
米国の包括的で膨大な量の金融規制法(連邦法律)をいいます。
金融規制改革の事を言うのですが、なぜか米国では、
立案や成立に貢献した議員の名を冠した通称がつけられることが慣例となっていて、
この法律も上院銀行委員長のクリストファー・ドッドと
下院金融サービス委員長のバーニー・フランクの二名の姓を取って通称され、
2011年7月15日にアメリカで施行されました。
ドット=フランク法の目的
ドット=フランク法は金融機関や金融取引に対する規制を強める法律で、
正式名称は日本語ではウォール街改革・消費者保護法=ドットフランク法と呼ばれています。
背景としては2008年に米国で発生した
リーマンショックなどの金融機関の破綻が海外に波及し、
世界的な金融・経済危機に拡大したことで
肥大化する金融を規制する必要性が強調されるようになったのが要因です。
『新たな金融危機を防止するための堅固な経済基盤を創出する』ことを目的として
具体的な内容としては消費者金融保護局をFRBの中に置くこと、
ボルカー・ルール、システム上重要な金融機関(SIFIs)の監視の強化、連銀法の修正などである。
規制は多種多様な内容にわたり、
破綻すれば影響が世界に及ぶ巨大金融機関への監視を強めたことが特徴で
財務長官を議長とする金融安定監視委員会を設置しました。
同委員会は金融機関が抱えるリスクを評価し、
必要とあれば規制政策を提示する他に
さまざまな債券を複雑に組み合せた金融商品を規制。
消費者金融保護局を新設して、消費者が金融機関から騙されたり、
返済能力を超えた貸し付けを受けたりすることのないよう取り締まります。
2016年12月の記事
米株式市場で銀行株が軒並み上昇している。
OPEC総会での減産合意でトランプ相場が復活しており、
銀行株にも資金が流入しているようだ。
次期トランプ政権で財務長官に就任する見通しとなった
ムニューチン氏がテレビインタビューで発言しており、
金融規制改革法(ドッド・フランク法)について、
銀行の融資の足かせとなっている部分を削除する考えを明らかにしている。
また、アナリストの投資判断引き上げも材料視。
ドットフランク法見直しについての大統領令署名
大統領就任から僅か2週間で数々の政策を実施してきたトランプ大統領は、
2月3日に「ドッド・フランク法見直し」を指示する大統領令にも署名をした。
ドッド・フランク法の見直し、撤廃は大統領選挙時から掲げてきたものであり、
国内外の金融機関が歓迎する政策と言える。
トランポノミクス、トランプラリーと言われるバブルに発展したのは
インフラ投資の拡充とドッド・フランク法廃止の期待が大きかったのですが、
今回の大統領令により、ドッド・フランク法の導入で強化された金融規制の緩和、
もしくは廃止が現実のものとなるだろう。
そうなった場合、銀行、証券などの
金融関連企業にとってはプラスに作用することが考えられる。
ドッド・フランク法廃止関連銘柄はこの辺りの業種が挙げられる。
ウォール街の投資機関だけなく、
日本の金融機関、そして市場にとっても期待される政策と言えるだろう。
トランプ新大統領がドッド・フランク法を後退させる大統領令に署名して
米国株は金融セクターが大きく伸ばす形でまたまた20000ドル間近に迫ったということです。
US President Donald Trump has taken his first step to try to scale back US financial services regulations.
He signed an executive order to review the 2010 Dodd-Frank financial regulations, which some people on Wall Street say are overly-restrictive.
The law was brought in after the 2008-09 financial crisis with the aim of avoiding another financial meltdown.
“Dodd-Frank is a disaster,” Mr Trump said earlier this week.
BBC Newsのネット版からの引用
サブプライムローンのメルトダウンによる金融危機が与えた影響が
あまりにも壊滅的だったことから就任したオバマは大幅な金融規制強化に乗り出し、
ボルカールールで金融機関の自己資本比率(裏を返せばレバレッジ)、
自己取引などに大幅な制限を設けていたのでした。
新大統領になったトランプはブレーンにウォールストリート関係者を置き、
こうした足枷を外して無力化させようと早速行動したのでした。
就任以来疑問符のつくような政策ばっかり打ち出しているように見えますが、
当該法案の規制緩和は個人的には賛成です。
80年代~90年代のダイナミックな相場を目撃してきたものとしては、
ポジションなくして収益なしと客のドでかい注文を吸収するためには
銀行側だって在庫を保有しておく必要が当然あるという信念がありますから、
それを悪用する輩がいてもそれがどうしたといったらさすがに極端になってしまうかもしれません。
以上の記事を考慮して、今日一つめのチャートは
JPモルガンとゴールドマンサックスの2014年末からの株価推移です。
上記のチャートを見ると
2016年第2四半期ごろまでは
まあだいたい原油価格の動向をなぞらえたような動きとなっています。
6月後半のブレクジット国民投票で一時的な急落を演じた後、
先進国中央銀行がネガティブ金利を導入するなどしたため
短期間で株価は回復し、11月8日の米大統領選まで一進一退ながら微妙に上昇。
クリントンとトランプという不人気者同士の戦いながら、
トランプが勝利したことでチャートの赤丸で囲った時期(11月中盤~12月)に
金融規制緩和期待、経済向上期待を反映して金融株がロケットのように上昇しました。
その間の米国金利上昇も劇的だったわけですが、
それも金融機関の貸出金利の上昇による収益改善期待に繋がって
株価を持ち上げる役目を果たしたのでした。
そういえば第4四半期は債券売買収益が爆発的に増加して膨大な収益を出したと言われています。
米国10年債利回り関連
上記は名目利回りで、一般にニュースなどで目にする利回りのことです。
昨年第4四半期の1.8%台から一時2.6%台までつける過程も劇的なものがあります
上のチャートは10年の期待インフレ率です。
これは普通国債とインフレ指数連動債(TIPS)との利回り格差として計算されるものですが、
直近では2%~2.1%というところまで上がってきました。
この2%というのがミソでFRBが利上げするのを正当化するための一つの根拠は
PCE(個人消費物価指数)や期待インフレ率の2%が目標ですから!
上記のチャートは、
名目金利ー予想インフレ率= 実質金利
という関係ということでそれをチャートにしたものですが、
物価上昇率を勘案した後の実質的な金利は直近0.5%弱ということで、
企業や家計部門への負担はまだまだ軽いということになるのだと思いますが、
米国経済は足腰がやはりしっかりしてきているということになります。
相感性が強く感じられる日米実質利回り格差(5年もの)と
ドル円為替レートの関係は上のようになっています(2/3まで更新)
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