2016年11月に成立したトランプ政権により、
米国では金融とインフラ関連業種に先買いが入っているようです。
2200ドルを抜けてきたS&P500の当該業種及び
悪影響が心配されている情報技術セクターの状況を見てみました。
2015年末を起点として金融セクターは15%上昇していますが、
公益事業は6月時点の+20%からなだらかに下げて今はたったの5%アップとなっています。
表を見てみると、なぜか世間で言われているのと大分違うデータが出ています。
逆に情報技術は2月時点の15%超のダウンから今は10%超アップになっているのです。
そこで米大統領選前日の11月7日を基準に騰落率をみてみると…
Post presidential election return | ||
金融 | 公益事業 | 情報技術 |
12.01% | -5.14% | 0.72% |
金融セクターは規制緩和が見込まれるのを材料に上昇が目立っています。
トランプ氏のせいでとんだ災難になってしまっているのが南米です。
Post US election performance | ||||
ブラジルボベス | USD/BRL | メキシコボルサ指数 | USD/MXN | |
-3.23% | 5.75% | -5.96% | 11.03% |
特にドル/メキシコペソでのペソ安、そしてボルサ株式指数の転落ぶりはひどいものです。
日本の公募投信の資金吸収で花形役を務めていたREIT市場は
金利上昇による借り入れコスト高によって
大統領選挙前から悪影響が懸念されていましたが、
上記チャートは為替の影響を受けない
それぞれの国の通貨ベースデータを載せてみました。
注意-REITとは、米国で生まれて投資家から集めた資金で
商業施設・病院・マンション・オフィスビルなどの不動産を購入して
売買益や賃貸料の成果の資金を投資家たちへ分配する金融商品で投資信託の一角です。
尚、J-REITは2001年から証券取引所に上場されています。
全体の流れを博するためにあえて起点を2010年末と少し長くとっていますが、
今年6月末以降の騰落率をみてみると下記のとおりです。
- USREIT :-2.79%
- EURO REIT:-0.15%
- JREIT :-2.96%
ということで、何のことはない、
JREITがUSREITよりもパフォーマンスを落としている事がわかります。
というわけで大統領選後は主要国で株価、国債利回りの急上昇―金利上昇で
資金調達が容易でなくなってきているのが理解できます。
上記のチャートは、今年前半のリスクオフ期間に
好パフォーマンスを挙げていた資産クラスの推移をみたものですが、
それぞれにピークを打つ時期は異なりますが、
やはり11月に入ってからの下げ方は尋常ではありません。
特に30年債のイールド上昇(価格下落)のインパクトの大きさが目立ちますし、
昨年末からのイールドの下げ分(30%)を全て吐き出してしまいました。
注意
・US HY CORP BONDとは米ドル建て高利回り事業債のこと。
・US GOVERNMENT &AGENCY BONDとは政府系機関債券のこと。
上記のチャートはS&P500指数($ベース)と
TOPIX(\ベース)の2016年初来の状況ですが、
S&Pは8%上昇してTOPIXに関しては一時20%以上の下落を見せていたが、
まだ、マイナス圏ではありますが、直近で―5%までに大きな回復を見せています。
Post US election performance | ||||||
US HY Corp Bond | JPY | Gold | US30YT Yield | US Govt & Agency Bonds | S&P500 | Topix |
-0.36% | -7.16% | -7.28% | -16.09% | -2.69% | 3.43% | 6.22% |
米30年債のイールドについてはイールドの上昇分≒価格の下落分として表しています。
また円は対ドルで7.16%下落したことを表しています。
(チャート出所―ブルムバーグ)
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