トランプ政権

米国の利上げ確率について 〜2017年2月データ

米国の利上げ確率

2017年、今後のドル円相場はどうなる?

2017年2月のドル円相場は何となくマッタリ。

レンジ相場入りという感じですが、
経済番組で某アナリストが語っていた言葉を借りると、
トランプ政権は具体的な減税や財政政策を
2月末までには打ち出せないのではない?かとの指摘をしていました。

フランスの政局に暗雲が垂れ込めていることもあり、
リスク回避の円買いになびきやすい環境にあるというのが同氏の見立てです。

しかしながら、この方は筋金入りの円高論者なので
主張もそれにそった材料ばかり拾い集める傾向があることを考えれば、
いかに優秀なアナリストとはいえ、妄信するのは禁物ともいえます。

 

チャートを見ながら考えてみよう

先ずは米国CME金利先物市場の参加者が織り込む利上げ確率の推移は以下の通りです。

米国CME利上げ確率の推移

これ自体はなんとも面白くないもので、
3月の利上げ予想確率はまだ20%台ということでまるで盛り上がりがありません。

それよりも注目するべきは下記のチャートです。

FF金利レベルの加重平均値の推移

同ページのV列に今年12月13日に予定されているFOMCの時点で
市場が予想しているFF金利レベルの加重平均値の推移を計算しています。

例えば2月21日クローズ時点での
加重平均予想FF金利水準は1.236%との計算結果がでました。

加重平均予想FF金利水準

現在のFF金利目標水準が0.50%~0.75%なので
その中央値を0.625%、1回あたりの利上げが0.25%とすれば、

(1.236% – 0.625%)/ 0.25% ≒2.4ということで
市場は12月までに2.4回(2回よりは多いが3回には満たない)の
利上げが行われると織り込んでいることになりますね。

 

前回、12月のFOMCで利上げが行われたとき、
2017年12月までに2.5回の利上げがあることを織り込んでいたのですが、
10年物米国債の利回り推移をみてもわかるように
その後一向に上昇する気配がないことが、
米ドル買いに勢いがないことを説明する根拠ともいえるでしょう。

特にユーロ圏と違って政治的な混乱がない円と対比すると、その傾向が鮮明といえます。

トランプは口先が先行するから微妙なところです。

 

下のチャートは米、日、英、ユーロ圏の2年物国債利回りと
10年物国債利回りの利回り格差(イールドギャップ)の推移をみたものですが、
これをみるとやはりトランプの勝利は
明らかにゲームチェンジャーとしての象徴的な意味合いがあったのではないかと思います。

米、日、英、ユーロ圏の2年物国債利回りと10年物国債利回りの利回り格差

即ち、どの国をみても

長期金利の上昇スピードが短期金利のそれを上回った結果
イールドカーブが立った状態になった、
少なくともこの2ヵ月はそうなっているということが見て取れますね。

その割にお膝元の米国のスティープニングに
勢いがないのが物足りないところではありますが、
先進各国の金利構造に変化が出始めていることは注目に値します。

日本の場合は黒田BOJの金融政策に
ほころびが出始めていると取った方がいいのかも知れませんが、
他国と整合的な動きとなっていることは間違いないでしょう。

 

下記のチャートは、日米の5年物インフレーションスワップ金利
(実質金利と考えてください)の差を追ったものが青、
ドル円為替レートの推移が赤で表されています。

日米の5年物インフレーションスワップ金利

(参照―ブルムバーグ)

少なくとも2015年6月末からの1年7か月あまりの期間において、
為替レートの変化は5年物実質利回り格差の変化を
忠実になぞっていることが確認できるかと思いますが、
今の水準が落ち着きのいいところのように見えてきます。

 

トランプ政権誕生直後の米市場

トランプ政権後の米市場

米国以外の投資家のファイナンス詳細

 米国以外の投資家のファイナンス詳細

 上記の表を見ると、
2015年ころからかなり外国人投資家のシェアが落ち込んできていることが理解できますが、
やはりこれは米国の利上げ開始と歩調を合わせているってことでしょうか。

金利が上がれば保有債券の価値は目減りするため、
直近では中国が人民元の下落を阻止するために
保有米国債を売却して元買い原資にしているという話も出ていることで納得できます。

問題になってくるには、米国は構造上貿易赤字であることで経常赤字に結び付いている訳で、
これに輪をかけるように財政収支も直近2016年第3四半期でGDP対比3.1%の赤字となっています。

つまり、その分高い金利を払ってでも国外の投資家から資金調達しなければなりません。

 

以上のことから、
トランプが威勢のいいことを言っていられるのも今のうち・・・
そうそう長くないかもしれないという感じがしてきました。

 

チャートを見ながら解説します

米国債で流通している債務総額(米国債、社債全て)の残高は
2009年からほぼなだらかに上昇し続けています。

米国意外の投資家ファイナンスチャート

直近では14兆ドル(1600兆円弱!)という規模になり、
そのうち、米国以外の投資家によってファイナンスされているもの
上記チャートで表されているものになります。

 

海外投資家のフローチャート

そして、上記のチャートは、
TOPIXへの海外投資家のフローはここ3週間微妙ながらインフローにはなっていますが、
順張りの海外投資家も日本株の出足の悪さにしびれを切らすのは時間の問題で
明らかに11月~12月前半の流入の勢いは失われている印象です。

 

原油先物

上記のチャートを見ると、WTI原油先物はネットロングが拡大こそしていますが、
その割に原油価格は50ドル台前半であまり動きは明確ではありません。

そろそろ各国の減産順守状況が発表される頃なので新しい動きが出てきそうですが、
米国シェール産業はOPECや米国以外の非OPEC産油国とはまた別の論理で動いているので
事態がより複雑になっている面があるので難しいところです。

 

CRUDE OILの長期チャート

10年物国債先物のポジション動向

上記のチャートはCME の米10年物国債先物のポジション動向ですが、
相変わらずショート残玉が高水準で推移しています。

この意味はトランプ政策
(インフラ拡大による財政悪化⇒金利上昇という悪い循環)を見越したプレイヤーが
大勢いるとの事を表しています。

 

ドル円チャート

(参考:ブルンバーグ)2016.1.15

 

最後にドル円ですが、ドル円の20*60P&Fのチャートを見ると
リバースヘッド&ショルダーを形成するのかなと思いましたが、
どうやら113円台前半と114円台後半を
上下バウンダリーとする横這い相場になりそうな感じがします。

バイアスとしては、どちらかといえばドル売りで市場は攻めたいような感じにさせてくれます。

2017年1月25日現在で今年の直近安値112.57まで下落しているので
その辺まで下押しする局面はあるかもしれませんが、
112.50を割れると111.36がターゲットになるとNY筋は言っています。

上はチャート上で気になる114.10水準を綺麗に抜けてくるまではドル買いは控えてみたい感じがします。

2016年米大統領選トランプ勝利後の米市場の考察

トランプ

2016年11月に成立したトランプ政権により、
米国では金融とインフラ関連業種に先買いが入っているようです。

2200ドルを抜けてきたS&P500の当該業種及び
悪影響が心配されている情報技術セクターの状況を見てみました。

S&P500情報技術セクター

S&P500情報技術セクター

2015年末を起点として金融セクターは15%上昇していますが、
公益事業は6月時点の+20%からなだらかに下げて今はたったの5%アップとなっています。

表を見てみると、なぜか世間で言われているのと大分違うデータが出ています。

逆に情報技術は2月時点の15%超のダウンから今は10%超アップになっているのです。

そこで米大統領選前日の11月7日を基準に騰落率をみてみると…

Post presidential election return
金融 公益事業 情報技術
12.01% -5.14% 0.72%

金融セクターは規制緩和が見込まれるのを材料に上昇が目立っています。

トランプ氏のせいでとんだ災難になってしまっているのが南米です。

Post US election performance
ブラジルボベス USD/BRL メキシコボルサ指数 USD/MXN
-3.23% 5.75% -5.96% 11.03%

特にドル/メキシコペソでのペソ安、そしてボルサ株式指数の転落ぶりはひどいものです。

グラフ

日本の公募投信の資金吸収で花形役を務めていたREIT市場は
金利上昇による借り入れコスト高によって
大統領選挙前から悪影響が懸念されていましたが、
上記チャートは為替の影響を受けない
それぞれの国の通貨ベースデータを載せてみました。

注意-REITとは、米国で生まれて投資家から集めた資金で
商業施設・病院・マンション・オフィスビルなどの不動産を購入して
売買益や賃貸料の成果の資金を投資家たちへ分配する金融商品で投資信託の一角です。

尚、J-REITは2001年から証券取引所に上場されています。

日本グラフ

全体の流れを博するためにあえて起点を2010年末と少し長くとっていますが、
今年6月末以降の騰落率をみてみると下記のとおりです。

  • USREIT :-2.79%
  • EURO REIT:-0.15%
  • JREIT    :-2.96%

ということで、何のことはない、
JREITがUSREITよりもパフォーマンスを落としている事がわかります。

というわけで大統領選後は主要国で株価、国債利回りの急上昇―金利上昇で
資金調達が容易でなくなってきているのが理解できます。

チャート

上記のチャートは、今年前半のリスクオフ期間に
好パフォーマンスを挙げていた資産クラスの推移をみたものですが、
それぞれにピークを打つ時期は異なりますが、
やはり11月に入ってからの下げ方は尋常ではありません。

特に30年債のイールド上昇(価格下落)のインパクトの大きさが目立ちますし、
昨年末からのイールドの下げ分(30%)を全て吐き出してしまいました。

注意
・US HY CORP BONDとは米ドル建て高利回り事業債のこと。
・US GOVERNMENT &AGENCY BONDとは政府系機関債券のこと。

チャート

上記のチャートはS&P500指数($ベース)と
TOPIX(\ベース)の2016年初来の状況ですが、
S&Pは8%上昇してTOPIXに関しては一時20%以上の下落を見せていたが、
まだ、マイナス圏ではありますが、直近で―5%までに大きな回復を見せています。

Post US election performance
US HY Corp Bond JPY Gold US30YT Yield US Govt &
Agency Bonds
S&P500 Topix
-0.36% -7.16% -7.28% -16.09% -2.69% 3.43% 6.22%

米30年債のイールドについてはイールドの上昇分≒価格の下落分として表しています。

また円は対ドルで7.16%下落したことを表しています。

                             (チャート出所―ブルムバーグ)